父に語り掛ける者

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

反抗期の頃の不思議な話。

私は父親に話しかけられるのが意味もなく嫌で、父が帰ってくると部屋へ戻ったり、
会わない様に上手く移動をして顔も合わせないようにするのがしばらく続いた。
それほど嫌だったので、話しかけられても「ああ」とか「うん」しか答えなかった。

ある日、居間で兄と話をしていた。

私:「ねー、パソコン買ってー。」
兄:「やだよ。自分で買え。お父さんにお願いしろ。」

私:「それこそやだよ。兄ちゃんから頼んで。」
兄:「お父さんと会話しろ。」

と、ここで父が帰って来た音がした。
なので、私は会いたくないので部屋を移動した。

父は居間に来て兄と話しているようだったので、私は母と話をしていた。
するといきなり父が「あきこー!あきこー!ちょっとこい!!」と怒鳴り声で呼ばれた。

シカト仕切れなくて、「なに?」とイラつきながら居間に行くと「お前何か言ったか?」と父。
「は?言ってないし。なんで?」と答えると、ちょっと困ったような顔で「今な、女の子の声が聞こえたんだ。『ぱそこんかって』って」

父が帰ってきてからパソコンの話はしてないし、兄も父には話していない。
父は知らないはずなのになんで?部屋は中央なので近所の声は入ってこないし、何より小さい子なんてうちにはいない。

フワっと鳥肌が立った。
「聞き間違いじゃない?」と言うと「いや、確かに聞こえた。女の子の声だからお前しかいないと思って呼んだんだ。」と。
ちょっとだけ怖がっていた父を見て和みそれからその声について少し話すようになった。
父と話さない私の変わりに、誰かが父に交渉してくれたと思っている。

おしまい。

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