何者かが家に潜んでいた

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

俺は小3の時、オートロックのマンションに引っ越した。

鍵は持たせてもらえず、帰ってきたら表玄関の横のプッシュボタンで母親に開けてもらっていた。
俺はこれが不満で、自分で鍵を開け閉めするようになりたかった。
両親にも再三言っていた。

ただし俺はこの時点で、いつも鍵を母親が開けてる事をまだ知らなかった。
インターホンの前に立ち、部屋番号を押せば(自動で)表玄関も家の玄関も鍵が開くと思っていた。

そう勘違いしたうえで「俺も鍵でドアを開けられるのに!」と思って、憤っていた。
だから、家へ入った時点で家に俺以外誰もいなかったとして、俺はそれを露ほども不審に思わなかった。

だって、人間が室内から開錠キーを押して、表玄関のドアを開けてるなんて知らなかった。
家の玄関のサムターンも、人間の手でしか開けられないのを知らなかった。

当時珍しかった、チェーンが付いてないタイプのドアだった事も、俺の勘違いに拍車をかけていた。

余談だが、友達の家(一戸建て)の玄関のドアは、外からボタン操作するとサムターンが自動で動くタイプだった。
そのドアにもチェーンは付いてなかった。

その日は、母親の勘違いもあって、何事もなく終わった。

その勘違いとは、俺がスペア(我が家にとっての)の鍵を勝手に持ち出して学校に行っていた、というものだった。
その勘違いが発覚したのは翌日の朝。

朝の出かけ際、母は俺に「今日は鍵を持って行かないでね」というふうな注意をした。

そこで俺が何の気なしに、スペアの鍵を勝手に持ち出した覚えなどない、と伝えた。
すると急に、母親から昨日の経緯を詳しく問い質された。
当然だが俺は、ボタン押して入ったとしか伝える事がない。

すでに父親と兄貴は家を発っていて、突然あわただしくなった母親と二人きりで過ごすのはつらかった。

母親が、スペアの鍵がどこにあるか確かめたところ、実はまだ母方の実家(車で約2時間の距離)に置いてあった事が判明。

それから鍵持ってる親族全員に電話とか、管理会社に電話して鍵の交換とか、あわただしい感じになった。

ベランダもふくめて、盗られたものや壊されたものは一つもなかったけれど、何者かが家の中にいた。

しかも、戸締りしたままの室内にいた。
そして、こつ然と去った。

誰が、あるいは何が、ドアを開けたのか、俺を招き入れたのか、ずっと分からずにいる。

余談だが、俺は今もここに住んでいる。
しかも一日中、過ごしてる。
昨年11月に失業して以来、ニートだから。

俺の朝の10時から11時の間、とにかくだいぶ暖かくなってから始まる。
コタツなう。
甘いミカンを貪るなう。

最近よく、ここに引っ越して来たばかりの頃を思い出すなう。

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