ずっと逃げ回る親子

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

小学2年の時、転校生の男の子がやってきた。

みんな、まだランドセルはピカピカで厚さも15センチくらいの頃だけど、その子のランドセルは厚さが5センチくらいしかない上、色もハゲハゲで革が擦り切れているようなすごいしろものだった。

その子はひと言も口をきかず、体格も小さかった。

1週間くらいして朝のホームルームに担任がなかなかやってこないのでザワザワしていると、血相をかえた担任が教室に走りこんできてその子を抱きかかえると、教室のテレビの下にある台の中に隠して「じっとしていなさい!」と言い、私たちには「静かに!何があっても口をあけてはいけません!」と言った。

そこに遠くからワァワァ騒いでいる声が近づいてくると、教室の扉をガラっとあけチョー怖い顔の男がはいってきて教室中を見回すとまた出て行って隣のクラスに移って行った。

翌日、その子はまたどこかに転校して行った。

DV親父から逃げまわってる母子だったのかな、とか思うけど、その時は隠れてない自分達もすごく怖かった。

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