小学校の夏休みに田舎の祖母の家に泊まりに行った時の話。
当時俺は大のおばあちゃんっ子で、家に遊びにいくたびにおばあちゃんと花札やボールで遊んでいた。
おばあちゃんはいっつもお菓子をくれたし、優しいし大好きだった。
そんなある日のこと。
おばあちゃんが祖父の仏壇におまんじゅうをお供えしてるのを見た俺は冗談半分でそれを食べようとした。
そしたらおばあちゃんは「それはおじいちゃんのだから食べちゃダメよ。」と優しくさとした。
そんでおばあちゃんは町内会の集まりに行くらしく、俺は一人で留守番することになった。
しばらく部屋で一人で遊んでいると、先ほどのまんじゅうの存在を思い出した。
「まあ一つぐらいならバレナイだろ」と思って、1つつまみ食いしてしまった。
小ぶりのまんじゅうだったけど1つ食って満足した俺はまた一人で漫画読んだりして遊んでた。
んでしばらくねっころがってると、ふと部屋(和室)のふすまが気になった。
少し開いている。
そして誰か覗いている。
誰かがじーっと俺のことを見つめている。
すき間からだったが、俺はそれがおばあちゃんだとわかった。
「おばあちゃん帰ったの?」
返事はない。
ただひたすらにふすまのすき間から俺のことをじーっと見つめている。
俺はなんだか怖くなって、「なんで見てるの?入ってきて」と言った。
それでもなお無言で見つめる祖母。
なぜ俺のことを見ているのか?
なぜ部屋に入らずすき間を開けてじーっと見つめているのか?
完全にお互いに目は合っている。
なのに、なにも言わない祖母。
いつもと違う祖母の様子に、俺はすごく不安なって大声で泣いてしまった。
いつもの優しいおばあちゃんならすぐになだめてくれるのに、おばあちゃんは泣いている俺をすき間からじーっと、無表情で見つめている。
しばらくすると、トンッとふすまが閉まった。
そのあと、おばあちゃんが出掛けるような音がした。
帰ってきてからはいつものおばあちゃんだったが、このことはなぜか聞けなかった。
優しいおばあちゃんだったが、このときだけはすごく怖かった。