キチガイ派遣のバイト

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

友人の体験談、長文です。

友人(♀)が住み込みのバイトを始めた。
長く続けるうちに、友人と同じ派遣経由で新しい住み込みバイト(♀)が入ってきた。
友人は社交的で男女共に好かれていて、新人にも「分からないことがあったら何でも聞いてね」と話しかけていたが、向こうからこれといった接触はなく、普通にバイトをこなしていた。

ある日、新人がバイト仲間の男たちと酒を飲んでいる席で「友人さんに意地悪される、仕事教えて欲しいのに話しかけたら無視される!」と訴えたらしく、男たちに呼び出され、尋問された。

友人は勿論否定するが、美人の涙の訴えを信じる派と友人の人柄を信じる派に別れ、職場そのものが二分される雰囲気に陥った。

それからの新人はエスカレートし、女子寮の自室で大声で歌う、一晩中トイレの鏡の中の自分を見つめる、真夜中に社用車で寮の周りをグルグル暴走するなどの奇行を続ける一方、複数のバイトの男を暗がりで待ち伏せし、涙をハラハラ流しながら無言で抱きつくという行為を繰り返していた。

女子寮は友人と新人の二人きり、こんなキチガイが同じ屋根の下で生活しているとなると友人の精神にまで変調をきたし、派遣先に事情を話すが「面接での彼女は普通だった。事実確認が困難だから仲裁には入れない。」と。
このままでは駄目になると帰郷の準備を始めた。

その矢先、新人の方から「バイトを辞める、もう派遣先に連絡した」と突然の宣言をする。
しかし退職当日、派遣社長直々に迎えが来ると発狂。

「社長の嘘吐きー!!私辞めるなんて言ってないのに、連れ去られる誰か助けてぇー!!!」と錯乱し、最後は引きずられるように引き取られていった。

社長は去り際「これで、彼女に虚言癖があるのは分かりました。あなたが正しかった、申し訳ない」と謝ったそうだ。

だが、これで全て解決とは行かず、未だ新人の涙に頭がやられている馬鹿男たちは「彼女を辞めさせた」「何かなきゃ、あんなふうに泣く筈がない」と信じ込み、何かにつけて「何をしたんだ?」「実際は虐めてたんだろ?」と絡まれ、居辛くなった友人も程なくしてバイトを辞めた。

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