深夜ドアを叩く者、そして近所の殺人事件

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

中学2年の時の話。

俺、自室に鍵があるんだけど、以前に部屋の鍵をかけたまま昼寝して、台所でボヤがあったとき気付かず逃げ遅れた。

俺は一度寝たら、なかなか起きない。
毎朝二度寝は当たり前。
学校には遅刻ぎりぎりで行ってた。

そんな俺は親にドアの向こうから怒鳴られ、ドアをガンガン叩かれ、ようやく起きた。
起きてみてびびったよ、部屋が煙だらけ。
まあ、台所のコンロの近くの物が燃えたり、タイルが焦げたりする程度で済んだけど。
だから、親には「お前はなかなか起きないから、寝るときは鍵かけるな。死ぬぞ」って言われた。

でも、俺は鍵かけるのが癖になっていたから、親の忠告を忘れてそれからも鍵をかけて寝てた。
その度に、親に注意されてたけど。

それからしばらく経った、ある夜(GWの前日)。
俺は自室がある2階へ上がり、いつも通り鍵をかけ、テレビを点ける。
しかし疲れがピークだったためか、テレビを点けたまま寝てしまった。
最後に時計を見た時間は21時ちょっと前。

夜中、ドアをガンガン!と叩く音で目が覚めた。

この俺が起きるんだから、ものすごい音。
ドア外れんじゃねぇかってくらい。
ドアを見たら揺れてる。

俺は「んだよ、また親父か母さんか」って無視した。(以前も鍵をかけたまま寝て、ドアを叩かれて起こされたことがあるから)

こっちは睡眠不足で眠いんだよ!って俺はキレた。
勿論、無視。

いつもなら、無視する俺に諦める両親が、今日はやけにしつこい。
しかも、ドア叩く音がうっさいのなんの。
いつもの倍。

時計をちらっと見ると5時。
点けっぱなしのテレビでは朝のニュース。
未明に殺人事件があったらしい。

被害者の名前が聞こえる・・・犯人はまだ捕まっていないらしい。

「朝っぱらから親もよくやるよ。てか俺は睡眠不足なんだよ」と、俺はぶちキレて「うっせえんだよ!」と怒鳴った。

しかし音は止まない。

「眠いから無理!」と俺が本気で怒鳴ると、音が止んだ。
即効爆睡。

翌日、GW。
俺は休日はいつも昼頃に起きる。

居間でテレビを見ている両親に「昨日ドア叩いたでしょ?ドア壊れるかと思った」と言った。

「昨日の夜、あんたが2階上がってすぐに、おばあちゃんの具合が急に悪くなったって電話あったから、病院行ってた。帰ってきたの10時頃」と眠そうな母さん。

「俺も」と大あくびの親父。

俺が2階上がってすぐだから・・・21時30分にはもう家を出ているわけだ。
つまり、ドアを叩かれた時間帯は、家に俺しかいなかった。

じゃあ、ドアをあんなにめちゃくちゃに叩いたのは誰だ?
俺には兄弟姉妹なんかいないし・・・。

泥棒かと思い、両親に「部屋とかなんか変わった様子ない?物の配置が違ったり、荒らされたりとか」に聞いてみるが、答えはNOだった。

「寝ぼけてたんだ。それか夢だな」と思っていたら、テレビで殺人事件のニュースが。

俺がドアを叩かれて起きた時、点けっぱなしのテレビから聞こえた殺人事件のニュースと同じ内容(被害者の名前が同じ・犯人捕まっていない)だった。

その日の夜、びくびくしながら寝た。
怖がりで小心者だから、電気とテレビを点けっぱなしで寝た。

ドアは叩かれなかった。

それからは鍵をかけなくなり、注意されることもなくなった。
また、ドアをガンガン叩かれた事はあれからもうない。

そん時はめっちゃ怖かった。
叩かれてるとき、両親が家いないという事を知ってたら、失神か失禁してたと思う。

ちなみに両親は、未だに俺が寝ぼけていたと思っている。

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