いつもの行動のように自然に死んだ

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

うちの会社は、新人に3年目か4年目の社員が付いて一対一で仕事を教える「対番」って制度がある。
私の対の先輩は、3年上の綺麗で明るい女性社員だった。

対番は通常半年~1年続くんだけど、私の場合は急な産休に入った社員の穴埋めで部署移動があって一年と少し対番してもらった。

本当の姉妹みたいに可愛がってもらって、大好きだった。
対番が終わっても仲良くしてもらってた。

大きなプロジェクトが終わって半月くらい経ち、会社の空気が比較的のんびりまったりしていたある日。
先輩が「ちょっと外の空気吸ってきますね~」ってフロアを出て行った。

数分後、内線がかかって来て、電話を取った社員が動揺して大声をあげた。
主任が電話を代わって、やっぱり大声をあげた。
切れ切れに聞こえてくる単語に中に、先輩の名前があった。

まだ電話がつながってる間に、サイレンが聞こえた。

休憩室にベランダがあるんだけど、そこにいた目撃者の話では、いつも通りの顔と足取りでベランダに出て、うーんて背伸びして明るい顔で空を見上げたあと、ひょいって飛び降りたらしい。

彼氏とは順調で、大きな仕事を成功させた功労者として表彰されたばかり。
人間関係も私が知る限り、問題なかった。

お葬式では泣いて泣いて声も出ないくらいだった。

先輩のお母さんからも「妹みたいに思っている子がいる可愛いの」ってあなたの事聞いてたのよ、仲良くしてくれてありがとうって言われて、形見分けに何か貰ってやって、って言われた。

先輩のお気に入りだった髪留めを貰おうと思って了承を取った。
仕事のお守りにしようって思って。

お母さんから「ドレッサーか机の引き出しに入ってると思うから、もっていって、私はこの部屋に入るのが辛くて」って言われて立ち去った。
ドレッサーには無かったので、机の一番大きな引き出しを開けた、そこに無かったので
サイドの小さい引き出しを開けたら私の写真が入ってた。

顔が滅茶苦茶に傷つけられてた、写真は何枚もあった私からの誕生日カードもあった、ペンで「死ね」って書かれてた。

見慣れた先輩の字だった。
頭が真っ白になって写真とカードをかばんに入れた。

お母さんには「机にもドレッサーにも髪留めはありませんでした」って伝えてお暇した。

その後、先輩のかばんの中から髪留めが見つかったって電話を貰って受け取った。
でも髪留めは一度も付けてない。

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