夜逃げした家をもう一度見に行った

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

父の会社が倒産し家族で田舎に夜逃げすることに。

父は会社の整理をしてから追いかけると言ったのに、家族が田舎に到着したのを確認して以降音信不通。
2日後に闇金が自宅に押し入った際、父の自死遺体を発見したと警察から連絡がありました。

ショックでPTSDを発症(現在完治)した私はその土地での思い出に完全に蓋をし、その土地にも二度と足を踏み入れることはないつもりでした。

それが先日の蝕の日、ふと「あの土地に行って家がどうなっているか見てみたい」という衝動にかられて車を走らせることに。
事実を確認してみたくなったのです。

家は面影を残したまま古びているものの今は別の家族が住んでいました。

父が大事にしてた家が荒れ地にならず誰かに大事にされていてよかったと、現実を穏やかに受け入れることができました。
時間はこうして流れているわけで、私も過去に囚われないで生きていかなきゃなー、と。

10年間の空白を取り返すようにそのまま町をドライブし、その帰り道にふと気づいたのです。

「そういえば、今日はお父さんの誕生日だ」、と。

残された家族にとって父の最期は本当に言葉では表せないほど辛い過去で、父の存在を思い出すたびに辛い気持ちになっていたことも事実です。
命日の供養は忘れたことがありませんが、誕生日を祝うという気持ちにはなれていませんでした。

ですが生前はとてもよくしてもらいました。
最高の父でした。
本当に誇りに思っていました。

最期は力尽きたけれど、家族のために最大限がんばっていました。
父も亡くなって丸10年経ったところで、お互いに楽しかった過去もあるじゃないかと私に思い出して欲しかったのかもしれません。

記憶障害を患い当時の記憶はおぼろげだったはずですが、雪崩のように色々な過去の記憶が蘇ってきました。

父が死んで失ったものも多く、どこかで父を責めながら10年もの月日が経過しました。

いい加減もうこれからは、父が生きて残してくれたものを大事に感謝していこうと思います。

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