死よりももっと大事な事があった

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

近所のおばさん、私が子供の頃から太っていて豪快な人だった。
「痩せたいわーあははは!」とか言いつつどんぶり飯をかきこむ感じ。
進学で地元を離れ、数年ぶりにおばちゃんに再会したら、すっごく痩せていてスレンダーに。
おばちゃんいわく「体重が半分くらいになった」そうだ。

155センチくらい、80キロ位あったのが40になったとかで、本人は実はちょっと気にしていたらしく本当に喜んでいた。
しかもいくら食べても太らないし、運動しなくても痩せたらしい。
でも顔色がとにかく酷い。

痩せて色んな服を着るようになり、カラフルな服に青黒い上たるんで、生気のない顔が怖かった。

本人は拒否したが、家族が無理やり病院に連れて行ったら即入院。
結局そのままがんで亡くなった。

しかし痩せた事を喜び、食事を拒否、顔色を見るために化粧を禁止されたら、半分意識がなくっても「化粧したい化粧したい」と言い続け、調子がいい時には鏡とメジャーを手放さなかったそうだ。

手術をしようと言われてもがんが治ったらまた太ってしまうのか、と悩んでいた。
結局手術しても転移があって治らなかったんだけど、死の苦しみ<スレンダーボディ」か・・・。

手術後、ダメだった事をしったおばちゃんは「もうちょっと痩せるかな・・・」と呟いてまた眠った。

意識不明に陥り、昏睡状態のまま亡くなったんだけど、家族が確認した最期の言葉は
「私今何キロ・・・?」だった。

女の美しさに対する妄執って恐ろしい。

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