車の中を覗けという怪しいおじさん

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

小5のとき、幼なじみと英会話の塾に通ってた。

ある日の帰り道、面識の無いおっさんに呼び止められた。

「ちょっと僕、ここ見てごらん。面白いものがあるよ」

おっさんは手招きして停めてあった車の運転席のドアを開け、そこから中を覗いてみろと言ってきた。

ものすごい怪しい。
幼なじみもいぶかしんでいた。
ただ、自分は当時からキョロ充で相手がこうしろって言ってきたことを拒否できない人間で(街で配られてるティッシュやチラシは必ず受けとるし、街頭アンケートもうまく断れない)今回も相手が中を見ろって言ってきた手前、断りあぐねていた。

でも近づいた途端に車に押し込められ誘拐されるんじゃないかって不安が強かったからどうしようか悩んだんだけど(幼なじみはやめとこう、帰ろうって訴えてた)変に断って相手の気を立たせて追いかけられたら嫌だって気持ちの方が強かった。

だから言われた通り中を除いてみることにした。
運転席側じゃなく助手席の窓から。
車からはある程度距離をとって。
相手は運転席側に立ってるから変な動きしたらすぐ逃げれるようにと思って。

中を見ようとしたんだけど、とくに何もおかしいものはなかったと思う。
そしたらそのおっさん「そっちじゃなくてこっちから見てみなよ」って言ってきた。

あ、これマジでヤバイってなって二人して「あ、ぼぼぼ僕たち急いでるんでもう帰ります!」「あ!い、急いでます!」みたいにテンパって自転車で全力で逃げた。

二人でヤバイヤバイ!って叫びながら走ってたんだけど、そんときは追い付かれることは考えてなかったと思う。
それよりもこのまま家に帰ったら家覚えられるんじゃね?ってなってどうしようどうしようって自転車こぎながら言い合ってた。

もう少しして家に着くって所だったんだけど、その前に団地があって自分等と同学年の子らとその親が広場で遊んでた。
自転車くっと曲げてそこに入ってっておばちゃんだったと思うんだけど、今あったこと二人で捲し立てるように説明した。
でも二人とも興奮してたから「車の中覗けって誘拐されそうになって!」みたいな滅裂なこと言ってたと思う。

おばちゃんも落ち着いて、誘拐?みたいにわけがわかってないようだったから「だからさっきあっちでへんなおっさんに誘拐されそうになって!」って塾の方を指差そうと振り返ったらさっきの車が団地の前に停まってて、振り返ったとたん走り出してった。

結局それから何かあった訳では無いんだけどやっぱり誘拐しようとしてたのかな。
それよりも自分がおっさんになって思った事なんだけど、当時は運動もしてたしいざとなったら逃げ切れるだろうって思ってたけど小学生位だったら走っても捕まえることできる気がする。
相手車だし逃げ切れて本当よかった。

自分の息子が似たような体験をしないことを切に願う。

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