墓参りさせようとする同級生の行動

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

何年か前、今ほど携帯メールが普及してなかったころの話。
高校時代の同級生(仮にA、男)から突然電話がかかってきた。
同じく高校の同級生Bが自殺した、葬式は身内だけですましてしまったので、今度当時の友人たちで墓参りにいかないか?という内容だった。

まさかBが!と驚いて「じゃあ次の日曜日にお墓に行く」といったら「土曜日にならない?」と聞き返された。

土曜日も仕事なのでムリだといっても「有給とれない?」とか食いついてくる。
そのときに少しおかしいな?と思ったが、結局日曜日に行くことに。
待ち合わせの駅に行くと、Aが車で待っていたが他には誰もいない。

「他の友達は?」と聞いたら「みんなは土曜日にすませた」と言われて、じゃあAは二日も出てきたのか悪いなぁと思いつつ、黒いスーツを着ていった私に「黒っていいよね」と突然言い出した。

「え?何が?お墓参りで喪服はやりすぎかと思ったから、スーツにしたんだけど?」と言ってるのに「なんか喪服ってやらしいよね」「工口い感じがする」とか言い出す。

で、墓に着いたんだけど、明らかにAは墓を探してる。
Bは佐藤とか山田とかみたいなよくある苗字なんだけど、Aは間違いなく、墓石を見てウロウロしてんの。

昨日来たんじゃないんかよ、とさらに不信を深めていると「あった」とB家の墓石を指差してる。
そこで突然疑問がわいてきた。
「これって本当に私の知っているBの家の墓なんだろうか?」
でも死にたてのBの名前は墓石に彫ってあるわけないし、確認のしようがない。
そしてAの行動がなんか妙に落ち着きがなくなってきて、前かがみというか、手をブラーンとさせて前傾姿勢であっちいったりこっちいったら、急に方向転換したり…。
口が開きっぱなしでなんかブツブツ言い出して、電車でよく見るキチガイの姿とかぶった。

帰り、車に乗るのが怖くなり、「タクシー呼んで帰るから、今日はありがと~」と逃げた。
追いかけられたけど逃げた。
社会人になって初の本気ダッシュだった。

高校時代の友人達とは年賀状をやり取りするくらい交流しかなかったんだけど、その年賀状の中から携帯番号を書いてくれてた友人に電話してBのことを確認した。

「え?B?死んでないよ?何言ってんの?」

ぎゃー!ってなってことの次第を話すと、たまたまその友人はBと今も親しくしていたので、その話がBまで行ってしまった。

BはAのイタズラだと思って「人を殺すなよw」と電話したが「あいつおかしいんだよ。逃げたんだよ。土曜日ダメだって言うし。俺せっかく準備してたのに」みたいなことを言うだけで話にならず、どうも心を病んでる様子だったそうで、「気をつけたほうがいいよ」とBから連絡があった。

高校の友人と普段から連絡を取り合ってない私ならBの死を他人に確認したりしないだろう。とか。
墓場に行けば一つは絶対ある「よくある苗字」のBをチョイスしたこととか。
心を病んでるくせになんでそういうところで知恵は回るの!?と怯えていると電話攻撃が始まった。

Aの親に相談すると、「いやもう、ダメなんですよ。直接には何もしませんから…」ということを言われた。
これは本当にそのまま文字通り言われた。

結局うちの父がAの親に電話して話し合ったらぴたっと止んだんだけど、Aの親の電話の態度が、私に対してと父に対してとで全く違ってビックリした。

世の中には「男」というだけでひるみ、「女」というだけで軽く見てくる奴がいるんだな、と知った。

結局Aはなんだったんだ?とか、なんであんなに「土曜日」にこだわったんだろう?
とかいまだに解決してないことが色々あるんだけど、事件事態は後を引かなくてよかった。

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