持ち主が本当は死んでないことを祈る

衝撃的かどうか・・・ふと思い出した10数年以上前の昔の話。
ちょっと状況説明が難しいが。

昔、離島行きフェリーが発着する港でアルバイトしてた。
夕方すぎに船が入ってきて、夜遅く出港する。
仕事の内容は船の入出港の時につないでいるロープを外したり、乗船の時に客を誘導したり、荷役したり。

ある雨の日、合羽を着て夕方6時過ぎに入港してくる船のロープをとるために桟橋へ。
船も大きくて(130mある)桟橋の端に接岸するので、端の方はお客さんが乗り降りするターミナルからちょっと離れていて人気があまりない。
作業の前に、ロープをつける場所の周りは確認して何もないことを確認した。一緒にいた後輩も確認。

入港作業はいつも通り終了。
いったん戻って荷役したりして、出航時間の22時前にお客さんを乗せて、定刻になったらロープを外して出港できるようにするためにまた桟橋へ。

いつもなら桟橋の一番端(船の後ろ側)、人けのない方へ行って後輩はターミナルから近い明るい場所へいくのだが、なぜかその時だけ後輩が「たまには自分が後ろへいきますよ」と。
特に問題はないので、任せることにした。

定刻になってロープを外し船は出港。
後輩の方が遠い場所なので、作業車で迎えにいく(後輩はまだ運転不可だった)。

桟橋の端まで行くと後輩が待っていた。
でもなんだか生気がないというか元気がない。

「どうした?」と聞くと「嫌なもん見ちゃいましたよ」と。

たまにカップルが桟橋に侵入していちゃついていることがあるので、それを見たのかな?と思ったが、どうでもいいので「帰ろう」というと「いや、ちょっと確認してもらいたいんですけど」と引き留める。

なんだ?とは思いつつ後輩の連れられてロープをつける場所へ。
使わないコンテナが並べられているところなのでけっこう暗い。

10メートルほど進むと桟橋の一番端、角になっているところまでくるのだ雨が降っていることもあって数メートル手前までよく見えなかった。

「あれです」と後輩が指をさした先にはコンテナに立てかけられた柄物の傘と女性もののハンドバッグ。
そして50センチくらい離れた場所、岸壁の縁のところに女性ものの靴がそろえて置いてあった。
海につま先を向けて・・・。

パッと見たときなんだかよくわからない非現実的な気持ち悪さというか、なんだかよくわからない気分。
数秒間思考が止まって、それを見続けたら頭の中で一気にいろいろと繋がって理解した。

「うわあ・・」とだけ呟くと「やっぱり・・ですよね」と後輩。
とりあえず社員を呼んで現場を見せる。
社員も絶句して「警察呼ぶか」と。

110番して警察到着。
仕事の時間は終わりだったのでとりあえず第一発見者の後輩だけ残って、あとは帰らされた。

翌日、社員に聞いた話。
置いてあったハンドバッグの中に、港のすぐそばにあるホテルの部屋の鍵が入っていた。

警官とホテルの人が部屋に入ると、メモに遺書と思われるものがあったらしい。
病気を苦にして・・ということだと。

通報の翌日から数日間、明るくなってから潜水夫らが捜索をしたが見つからなかった。

傘とバッグと靴の持ち主の姿はまったく見ていない。
でも遺留品だけ、というのはかえってインパクトがあった。

このバイトでは離島に帰るご遺体を船に運び込むことがあって「死」には触れていたつもりだったが・・・。

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