母がパート先の知り合いにダイエットのコンテストへの出場を頼まれた。
自分から見るとさほど気にならんが、母にとっては肥満が一番の悩みであったようで、昔から様々なダイエット食品を試していたような人だった。
それが知り合いの人の贔屓にしてる健康食品会社のコンテストに出場すれば、準備期間の間割引価格で食品やエステを受けられる上入賞すれば特典もあるという。
母は参加を決意し、様々なグッズやエステ等で計30万以上は飛んだ。
母自身も高いと言っていたが、思えばその時点で警告をしておくべきだった。
そしてコンテスト当日、興味本位で自分も客として会場に観に行くことに。
会場は中規模のホテルの講堂が貸し切られており、会場の人数も200人ほどと多かった。
そしてコンテストが始まり、参加者十数人のビフォー、アフター写真と小話が紹介されていく。
この間2時間ほどで、後は結果発表だけと考えると意外とすんなりと終わるなぁと思っていた。
すると、会長の~による人生に関する必勝法~等説教が続く。
えっ!?これって・・・・・・。
胡散臭い挫折と成功の話、これが延々と続く。
自分の馬鹿らしい思いと裏腹に涙を流す人々。
自己啓発セミナーそのものであった。
そのような話が人を替え4時間ほど行なわれた。
そして俺は確信した。
椅子の配置とパチパチパチと機械的かつ作業的に続く拍手、会場の9割の人間たちはコンテスト主催の会社の社員達であった。
おそらくダイエットコンテストはネズミ講で得たカモを相手に金銭を回収するためだけに社員総動員で作り上げたイベントなのだろう。
結局コンテストはあまり体型が変わってないが若く綺麗な女性が優勝。
彼女も雇われモデルかもね。
立食式の晩餐も振舞われたが人数の多さに殆ど食べる事も出来ず、母と互いに暗く沈んだ顔を見合わせて帰宅した。
「夫の暴力が辛くて~でも○○に入社したおかげで笑顔を取り戻せました!」
涙ながらに語っていた社員のおばはんが印象的である。
ネットでマルチ認定されながらもその会社は今も健在であるようだが、騙されている人や洗脳状態の社員たちを思うとやるせない気持ちになる。
うん十万かけて買ったという代謝を促進して脂肪を~身長の伸びにも効果が~の超胡散臭いマットは怪しいプラグ類を抜かれた状態で今も敷布団として使われている。