ホテルの一室だけ値段が安い

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

都内の某ホテルにイベントで泊まった時。

徹夜で製本してたんだが、隣の部屋がどたん、ばたんとうるさかった。

私は寝ないつもりだからいいけど、うるさいなあ、と思いながらも製本。
静かになったのは2時ぐらいだったと記憶している。

ああ、やっと寝たのかと思いきや、今度は廊下をばたばた走ってくる音。
隣のドアをがんがん叩く音。

何か叫んでいた男性が、今度はこちらのドアをがちゃがちゃ。

「すみません!ホテルの者です!非常事態なんです!」

なんだなんだと思う間に、鍵かけていたドアがばん、と開いた。

入ってきたスーツのおじさんが二人、あわただしく「隣の部屋で非常事態がおきまして、申し訳ありませんが失礼します!」言うなり、壁をぶち抜いた。

隣の部屋のがたがたいう音は、どうも宿泊してたおじちゃんが、首を吊るための紐をかけようと四苦八苦してた音だったらしい。

静かになったってことは・・・と、ガクガクブルブルしていたが、どうもうまくいかなくて諦めたところだったみたい。

自分的には「安いホテルは壁が薄いんだな」ぐらいで、おじちゃんも助かったしまあいいか、だったのだが。

後日、どうもその部屋は自殺者を呼ぶ部屋らしいと聞いた。

その部屋と両隣、値段がカプセル並みの破格のお値段だったのは・・・。
いっそ客入れずにあかずの間にすればいいのにと思った。

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