あの女性はキチガイだったのかもしれない

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

少し長くなるかもしれない。

中学生だった頃、友達が出来ない訳ではないし成績もめちゃくちゃ悪いわけでもないけどなぜか浮いてた。
友達はできても気が付いたらそんな関係は消えてる感じ。
なんとなくいつも一人でいた。

ある日放課後公園で一人ぽつんとブランコに座ってた。
家庭環境があまりいいわけじゃ無かったから多分家に帰りたくなかったんだと思う。

そしたらふいに綺麗な女の人が「何してるの」って喋りかけてきてくれたんだ。
とりあえず「ちょっと一休みしてるんです」と答えた。

そこからその人は「悩みでもあるの」とか色々聞いてくれて、なんとなくもやもやとしてた気分が晴れた。

門限になったから帰りますって言って帰ろうとしたらその人は「また来る?」と聞いてきた。

俺は人のほとんど来ない静かな公園がまぁまぁ好きだったから「多分来ます」とだけ言ってその日はそのまま帰ったんだ。

次の日も、そのまた次の日も女の人は公園に居て、俺と話してくれた。

相変わらず友達とは微妙だし成績も大して上がらないけど同級生と居るよりその人と居るほうが楽しくなってた。

話す内容は悩み事とか好きな食べ物の話とか別にふつう。
でもそれが楽しかった。

ある日を境にその女の人は突然来なくなった。
冬の雪が降ってて、風が死ぬほど冷たい日だったからさすがに居ないのかな、と思った。
だけど何日たってもその人は来なかった。

引っ越したのかと思ってその公園の近所をうろうろしてたら偶然近所のおばさんと遭遇した。

こんな所で何してるの、と聞かれたから最近ここに来ない人が居て、その人を探してるみたいなことを言ったはず。

そしたらおばさんが「もしかしてそれ美人さんやったやろ?」って聞いてきた。

だからその人の特徴をそれとなく伝えたら、そのおばさんは一瞬近所の様子を気にするようなしぐさをしてから「その人ね、多分そこの角に住んでた人やわ」みたいなことを言った。

しばらく聞いてたらおばさんはなんと「その人つい最近人殺しかけて親戚の人に田舎に帰されたんや」ってヒソヒソ声で言ってきた

覚えてるぶんでは、よく話してくれる中学生ぐらいの男の子が可愛くてかわいくて仕方ないみたいなことを言ってたらしく、それぐらいの子を見ると可愛さのあまり首を軽くしめかけてしまうらしかった。

親戚一同が集まった日に、俺によく似た子が居たみたいで、その人は親戚の前で首を軽くしめてしまったらしい。

そして親戚に「危ない」と判断されて、田舎に帰されたんだとか・・・

綺麗でおだやかな人だったから、そんな事があったんだと思うと本当に怖かった。

やっと長続きする良い友達できたのかなと思ってただけに当時はショックだった。

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