実話なんで長文のくせに面白くもオチは無いよ。
俺は中学の時は不登校気味で頭も馬鹿だったが、そんな奴でも受かるある島の底辺高校に通ってた。
一学年にクラスが二つしか無いような高校。
しかしありがたいことに小学校からのオタ友達が一人居て、その日いつもの様にそいつと二人で帰ってた。
高校から港までは徒歩十分ぐらいの近場なんだけど、前に同じクラスのヤンキー数人が歩いているのが見えた。
似たような底辺学校に通ったことある奴は分かるだろうが、同じクラスのヤンキーに俺らみたいなオタクは絡まれるのが運命。
それが嫌だった俺らはヤンキーが乗るであろう船の次が来るまでの時間、どっか適当に迂回しながら帰ることにした。
島なので、港から離れたら周りは住宅がポツポツあるだけで店も殆ど無い田舎。
そんな田舎にはよくある物だと思うんだが、道路の端っこの方に用水路があった。
もう使われてないのか水は全く流れてなくて最近雨も降ってなかったせいか、下の土が見えるぐらいに干からびてた。
幅は大人が一人ギリギリ入れるかってぐらいで、30-40センチぐらいの子供でも余裕で飛び上がられるぐらいの高さ。
で、そんな用水路にふと目をやってるとなんか蠢いてる茶色っぽい物体が見えた。
それはなんか見るからに弱ってる死にかけの薄汚い犬だった。
それを見つけた俺は友達と一緒になって、「何でこんな所に犬がいんの?落ちて上がれなくなったんかな?なんか可哀想だなー。出してやる?でも噛まれねーかな、噛まれたら狂犬病とかこえーよ。」と立ち止まってしばらくこの犬についてダベってた。
当の犬は吠える元気も無いのか伏せながらじっと俺らを見てるだけで大人しかった。
このまましとくのもなんか可哀想だったんで、とりあえずその用水路から持ち上げて出してやることにした。
暴れたり吠えることも無くすげー大人しかった。
首輪とかは確認したが無かった。
出してやると犬は前足の片方を骨折してるのか、ひょこひょことその片足をしんどそうに持ち上げながら俺らを無視してどっかにゆっくり歩いて行こうとしてた。
野良は大変だなぁ、落ちて骨折して出られなくなったのかな?
みたいなことを考えてると、俺らの後ろの方からすげー猛ダッシュで変なおばさんが来てその犬をとっ捕まえた。
本当一瞬で俺らがポカーンとしてると何秒かこっちを無表情でじっと見た後に何言うでも無くその犬を抱えながら来た道を引き返して(つまり俺らの方に)また猛ダッシュしてすぐ近くにあった家の中に入っていった。
俺らは訳分からなかったが何かするでも無く、さっきのおばちゃん何なんだよ~とかあれこれ適当な事言いながら船に乗って家に帰った。
おしまい。
後日談とか一切無し!