現場監督に聞いた話。
林道の工事にあたって木を伐採することになった。
手配師が連れてきた人夫が、切り倒した木をチェーンソーで小切ってゆく。
中に背丈ほどの高さに瘤のある木があり、その瘤のところに切り込みを入れた。
途端に凄い音がしてチェーンソーが止まった。
チェーンに何かが絡みついている。
錆びた鉄釘を巻き込んだ恐ろしく長い髪の毛。
人夫が恐る恐る鉈で瘤を割ってみると、中から大量の黒髪がぞろりと出てきた。
その日以来、人夫は現場から姿を消した。
手配師に尋ねても「知らない」の一点張りで、理由も消息も分からずじまいだった。