ひぃじいさんと俺には見えていた

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

私が小さい頃の話。

ひぃじいさんが愛人のために買った別荘でよくキャンプなどをしていました。

山の上に建ってるので海がよく見渡せる家で、夏場には花火だって特等席で見れます。

裏手には森林。
家の周りの大きい木にカブトムシやクワガタが居てたくさん取れます。
子供にとっては夢の国です。

ある日、夜中に目が覚めてトイレに行きました。

ひぃじいさんが窓の付近にいたので話しかけたのですが、目を隠していて私は、どんな遊びをしているんだろう・・・なんて思ってました。

トイレを終えてひぃじいさんを見てもまだ目を隠して座っているので「なぁ、じいちゃんそれどんな遊びなん?」と聞いてみたのですが「窓の外を見るな!あっち行っとれ」と怒られ、別に窓の外なんて気にもしていなかったのですが、寝室の脇の窓から外に目が行ってしまい天に昇る竜を見ました。

身体はヌメヌメしていそうな感じで、顔はもう雲の中に入ってしまって見えなかったんですが京都銀行のCMくらい長かったように思います。

見たことをひぃじいさんに言えば叱られると思い、言い出せないままひぃじいさんは亡くなってしまったのですが、9年後のお葬式でひぃじいさんが見た竜の話をひぃじいさんの兄弟分から聞きました。

竜を見て世界が飲み込まれていくのを見たそうです。

本当か嘘かは知りませんが私にはただ長細い竜が昇っていくようにしか見えませんでした。

ひぃじいさんの葬式から15年経過し、親父が死んでその別荘は私の所有物になり利用する事も結構多いのですが、竜を見かける事はありません。

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