一緒に死んでみる?

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

周りに話すとガチで怖がられる、オレの実体験。

今から10年前、オレは大阪の専門学校に入学したんだけど、コミュ障だから中々友達が出来なかった。

入学してから3ヶ月くらいかな?経過して、席替えした時に隣に座ったのがM君だった。

M君は顔だけなら昔の美輪明宏(マジで激似)なんだけど、髪型がスネ夫みたいで惜しいルックス、かなり細身なのに常に汗をかいていて挙動不審だった。

オレが勇気出してアニメの話を振ったら、どうやらM君もアニメ好きだったようで、意気投合してからは一緒に行動するようになった。

Mと仲良くなってすぐに気が付いたんだけど、Mはかなりネガティブで、過去の辛い体験談をオレに語っては「どうせ自分なんて何も出来ないから」みたいな事を言ってて、ほとんど鬱病だったと思う。(10歳の従姉妹に気持ち悪いと言われてギャン泣きしたとか、アルバイト先に馴染めなくて3日で辞めたとか色々。)

そんなネガティブ思考より驚いたのは、彼が超馬鹿だったこと。

プログラミングの学校だったんだけども、彼にfor文(基礎の基礎)が理解出来ておらず、課題が出されても当然出来ないので、放課後一人暮らしの彼のアパートへ行って代わりに課題をこなしてた。

そんな関係で1ヶ月ほど経ち、オレとMに1人仲間が加わった。

新入りのD君はフツメン、これまた細身なんだけど清潔感があって真面目系クズだった。

ある日、テスト期間明けに3人でM宅で酒盛りしようという話になった。(まだ18だったけど。)

3人で夕方から深夜まで遊んで、Mはオレと出逢った時よりも表面上は明るくなっていってたと思う。
M宅で夜を明かしたオレは猛烈な頭痛と吐き気で、2人が寝てる中黙って帰宅した。

宅飲みから2日後の月曜日、クラスに入るなりMはオレに向かって「なんで帰ったんだ?オレはお前の腰掛けなんだろ?友達のフリしてるだけだな?」と言って、自分の席へ帰って行った。

その後真剣に謝ったもののMとの溝は埋まらず、Dとは話をするもののMとはほぼ疎遠になり、オレは席替えを期に別の人間関係を築いていった。

Mと疎遠になって数ヶ月過ぎた冬、ほとんど話をしなくなったオレに対して、Mは「なぁ、制作課題が進まなくて困ってるから、放課後家に来て教えてくれないか?」と、以前みたく話し掛けてきた。

困惑したけど、彼なりの関係修復の方法なのかなと思い、二つ返事で承諾した。

約束通り放課後、久々にMと並んで歩き、家に着いた。

1ルームだけど無駄な物が無くて、男1人にしては綺麗に片付いてる。
そして以前みたく、Mとオレはコタツに座って勉強会という無の課題代行を始めた。

始めてから2時間ほどだろうか、外は真っ暗で、以前と変わらず超馬鹿なMに解説するのも疲れた頃だった。

「疲れただろ?酎ハイあるから取ってくる。」

オレ下戸なんだけどな~と思ったけど、返事すら聞かずにMは立ち上がり台所へ向かった。

pcの画面を眺めてたら、Mが帰ってきた。

Mは右手に包丁を握り締めて、オレの眼の前で突っ立ってた。

混乱したオレは「どしたん?」とだけ、いつもと変わらないトーンで聞いた。

Mは包丁片手にぶるぶる震えながら口を開く「実はオレ、先週末に電車で樹海入って首吊ろうとしたんだけどさ、ビビって出来なくてさ」

「なんにも出来ないのに、そんなことも出来ないのかって。昨日はこれ(包丁)で手首切ろうとしたんだ。」

オレは完全に身体が硬直してたんだけど、なんとか慰めようとしてたのは覚えてる。

そして「オレと一緒に死なない?」と。

その時はもう、オレここで死ぬんだとか、こんなこと現実に起きるんだなとか一瞬で色んなことを考えた。

返事次第じゃ死ぬって、映画とか漫画だろ。
で、自然と出たのは「うーん、オレもうちょい生きようかな。」

Mは「そうか」と言って再び台所に向かい、包丁を閉まって、酎ハイ片手に戻ってきた。

それから1時間くらい掛けMの課題を終わらせて帰路についた。

翌日からMは学校に来なくなり、連絡も取れなくなり、結果退学した。

めちゃくちゃ長くなったけど、オレが唯一リアルな死を目前にした経験した、かなり貴重な体験だったと思う。

それ、その後自殺したなら警察から事情聴取受けると思うんだけど、その後のことはわからんってことは自殺は思いとどまったんかな。

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