ある寒い朝、近くに住んでいる友人がエンジンが掛からなくなってしまったと言って我が家にやって来ました。
バッテリートラブルかと思いきや話を聞いてみると、エンジンを掛けようとスタータースイッチを回した瞬間、妙な音がしていつもとは違うなと感じたらしい。
再度スターターを回した時、大きな音がしてエンジンが掛からない状態になってしまったと言うのです。
何はともあれ行ってみなければ合点が行かない。
私の車に友人を乗せ自宅前に着きエンジンルームを開けてみると・・・思わず目を背けたくなる光景が目に飛び込んで来たのです。
ファンベルトに猫が巻き込まれバラバラに解体されていたのです。
友人は元自動車整備士ですからメカには滅法強いはずです。
まさかの猫にショックを受けたのでしょう、理由(わけ)も言わず言葉少なになってしまっていた。
その為、私にはその状況が良く呑み込めなかったのです。
ちなみにトヨタのワンボックス車です。
彼が長年付き合いのある整備工場に連絡をしたのですが、猫に触れる者は誰一人いないと断られてしまったのです。
仕方ないので私のお得意様の整備工場に連絡すると心良く来てくれました。
テコを使い死骸をあらかた落としてくれましたが、それ以上の事をさせる訳には行きません。
友人はというと論外という顔しているので、彼の奥さんが用意してくれたゴム手袋とポリ袋を横目で見ながら・・・これは私がやるしか無いのかと決心をし、拾い集め始めました。
目玉は吹き飛び地面に落ちて、それを取ろうとしても、駐車場のコンクリートにへばりつき力を入れないと取れないという状態になっていました。
気持ちが悪いなんてものでは有りませんでした。
私はそれ程神経が太い方でありませんから、大切な友人でなかったら恐らく出来なかったと思います。
幸いその日は可燃物収集日で清掃車が来る前に終了していた。
その為、そのまま集積所に出せたので保管する必要なくその点は助かりました。
死んだばかりで臭いがなかった事は救われました。
警察、鉄道員は、本当に大変だろうなとつくづく感じたものでした。
猫は寒さが苦手ですから、少しの隙間からでも暖かい場所を求めて、エンジンルームなどに入り込む可能性が有ります。
実際この事故は増えているそうです。
野良猫が多いとか車体に足跡がある等思い当たる節がある場合は気をつけてください。
エンジンを掛ける前に人間の気配を感じさせる事によって、小さくとも大切な命を守ってあげる事が出来る訳です。
ドアの開閉時の音、タイヤを蹴るなどは効果があるかも知れませんね。
オートスターターでエンジンを始動させている方、タイマー設定なさっている方は特に気を付けた方が良いと思います。
因みに彼の場合はドアを開けてからの普通のスタートでしたから不可抗力であったとは言えます。
が、何故その時の音で臆病な性質の猫が逃げなかったのか、不思議ではありました。
エンジン音が妙な感じのときは気をつけろよ。