あのとき火花が飛んでたら・・・

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

15年ぐらい前、当時俺は公共料金の集金をやっていた。
定期的なものではなく、口座振替で落ちなかった料金を集めて廻ってたんで、数件の家に行くだけだった。

その日もとある家へ集金。
玄関の戸を開けて「こんにちは~」と声を掛けたが反応がない。
そこでちょっと大きな声を出したが返事がない。

「留守かな?」と思っていたところガスの臭いに気がついた。
かなり濃い臭い。
慌てて玄関を飛び出してガスメーターを見るとグルグル廻ってる。

とりあえず隣の家(酒屋)に飛び込んで電話を借り、消防に電話を掛けた。
消防に連絡した後、玄関で「○○さあ~ん」と酒屋のおばちゃんが呼びかける。
あいかわらず返事なし。

静かな家の中でシューと音がしている。
玄関脇の台所でガスレンジが点火になってるのに火がついてなかった。
とりあえ事故か自殺かと思いつつガスを止める。
その間、酒屋のおばちゃんは大声で怒鳴っている。

すると奥からおっさんが出てきて「なんですか」と。
「ガス漏れしてる」と半分パニックになってる俺達をよそにいたってのんきな様子。

「とりあえずはよガスを換気して!」という俺たちの言葉に「そうけ?」といいながらおっさんは換気扇のスイッチをヒョイと入れた。

その瞬間「もうアカン」と思ったが幸運にも火花は飛ばなかった。
大声を上げた俺たちを見て「え?つけたらあかんかった?」と言いながらまたスイッチを操作しようとするおっさん。

「せやからスイッチいらわんとって」ともうマジでおっさんを怒鳴ったんでなんとか無事におさまった。

生きてるからいま書き込みできるけど、あのとき火花が飛んでたら・・・新聞記事と一緒に墓の下。

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