明らかに人工物だった

カテゴリー「怨念・呪い」

沖縄の本島に1週間ほどダチと二人で遊びに行ったときの話。

その日は北のほうでボートを借りて釣りをしてたんだが、午前中でそれに飽きてしまった。
それから道具も持ってきてたんでダイビングをしようってことになった。
浜から300mほど沖の40畳くらいの小島というか小岩のところでボートをとめて潜った。
珊瑚より海藻の多い場所で魚は少なかった。

島のまわりを巡るのはあっという間だったが、沖に面した島の根っこの水深4mくらいのところが大きく内側にえぐれているのを見つけた。

洞窟とは違っていつでも出てこれるような場所だったんでダチといっしょに入ってみたが、中は意外に広かった。
幅の広い階段状の岩が四段ほどあって明らかに人工物だった。
奥行き3mくらいのそのくぼみの中も魚は少なくて、中がなんとか見えるくらいの明るさだった。
そして最奥が垂直の壁になっていて、その前に高さ1mくらいの石製のかめが4つあった。
俺は遺跡だと思ってダチに合図して近寄ってみると、40cm四方くらいの石製の四角いフタがのせてある壷のようなものがあった。

それで近寄って二人で一番左端の壷のフタを持ってずらしてみたら、いきなり壷の中から深い紺色の煙状のにごりが凄い勢いでぶわーっと出てきて、オレらは『ヤバイ物』かもしれないと思ってそのくぼみから出て離れた。

その紺色のにごりは水中で縦長にまとまってどんどん人の形のようになっていく。
20秒くらいで高さ1・5mくらいの直立した人の形になってオレは女だと思った。
といっても形だけで表面は紺色のにごりのままなんだが・・・。

それが両手を前に伸ばす形でくぼみから出てこようとしている。
それを見るとオレはすごい胸苦しい気持ちに襲われて水を蹴って離れようとした。
そこで下を振り返ってみるとダチがそのにごりに魅入られたようになって動かず、30cmくらいのところまで近づかれている。
それでもう一度潜ってダチのワキの下に手を入れて一緒に浮上し、急いで泳いでボートまで戻った。

ボートでダチに「あれは何だったんだろう?」と言ってみたが、なんだか上の空で返事もしない。
表情が暗く言葉少なに考え込んでいる様子で、次の日もそうだったんでオレは呆れてダチを残して一人で大阪に帰った。

その2日後にダチが死んだという連絡がダチの両親から入った。
その小島のある浜に死体が打ち上げられたそうで、外傷はなく溺死なんだが下半身が紺色に染まっていたそうだ。

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