オレが高校時代のお話。
ガキ時代ってなぜか知らんがすぐ便意をもよおすよね。
オレは学校帰りに急にクソしたくなって公衆便所に駆け込んだ。
家までは歩いて遠かったし。見るからに汚い便所だったので誰も来ないからいいやと思ったんだ。
カバンからティッシュを取り出しながら「これで足りるかなぁ?」なんて思いながら便所に入った。
やっぱ一応紙のあるトイレ部屋がいいから順番に手前からドアを開けて確認してったんだ。
個室は3つあって手前からゲロまみれ、流し忘れ、まぁまぁキレイ・紙アリだった。
オレは当然奥の部屋に入った。
我慢した分だけ中々終わらず、オレは薄暗い部屋で初めて周りを見渡すと落書きだらけだって気づいた。
女欲しいとかアホバカとか○○学校の○○参上とか、しょーもないのばっか。
でもそこに一つの共通点があるってわかった。
ほとんどの落書きの文章に、赤いペンで丸で囲んだ部分があるって。
『ざけんな!カ(ス)』
『オレのでかいだ(ろ)』
『(し)にくされまぬけ』とかってゆーふうに。
す、ろ、し、こ、ね、を選んで丸で囲んでるみたい。
『殺す死ね』か『死ね殺す』とでも言いたいのか?
馬鹿馬鹿しいと思って中々終わらない便意にイライラしながら、誰がこんなマネしたんかなぁ?と考えた。
誰だか知らんが、そいつはこのトイレで赤いマジックか何かで落書きに延々とチェックを入れていったのか・・・気持ち悪い。
オレもそいつが居たのと同じ空間にいるんか・・・と思うと気分が悪くなってきたので早々にきりあげる事に。
備え付けだったペーパーを巻き取りながら拭いてると、どーもペーパーに何か字が書いてあるのに気づく。
ペーパーの表面にお経みたいな字の図形が延々と書いてある。
もちろんオレが巻き取った紙にも。
オレがペーパーを巻き取るとずっとソレが書いてあったんだよ。
誰かが一度ペーパーを全部ほどいて文字を書き、その後また戻したんだ。
そんな気の遠くなるような行為を一体誰が・・・。
本当に恐怖を感じてきたオレはさっさとケツを拭いてズボンを履いて立ち上がった。
そしたら、その時まで気づかなかったけどドアの上のほうにも大きな落書きがあったんだ。
『ナンなんだよ(コ)(コ)!気持ちわるっ!変なチェック(す)んな!』
オレはこれを読んで震え上がった。
このチェックに気づいた人間の落書きにまでチェックが入ってる。
という事はコイツ何度もココに来て、その度に赤いマジックで囲んでるんだ。
もしかしたらこの部屋に誰かが入るようにわざとソイツがペーパーを置いて、しかもその紙には変な文字を・・。
そいつのアタマの中を想像しただけで背中に震えが来て、オレは急いで部屋を出たんだ。
そして気づいた。
トイレの入り口とは反対の壁のデカい換気窓。
そこから人影が見えた。
そしてそいつはサッと消えたんだ。
いよいよオレは怖くなって入って公衆便所を出て家までずっと走って帰った。