才能で復讐する

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

高校時代いじめられている女の子がいました。

その子はとても美しかったのですが、社交的ではなく友達も作らないで休み時間は図書館やトイレに行ったりしていました。
そのため特に女子から「あの子変だよね、キモいね、犯罪デモしてるんじゃないの」、などなど言われていました。

最後にはクラス中がなんとなくいじめを始めました。
教師に対しても無愛想だったため教師からも嫌われ「不適格者」と思われていました。
それでもその子は言い返すこともなくただ下を向いているだけでした。

卒業を迎えたときみんな大学や専門へ進学しました。
しかしその子は進学もしませんでした。

1、2年経ったときその子は、時々町で同級生に見かけられるようになりましたが、何をしているのかもわからずやはり下を向いて歩いていました。
現場仕事などをしているなどの噂もあり、「将来ヤバイよね、相変わらずキモいね」などと言われていました。

そして、ある時、その子の同級生2、3人が後をつけてみようと面白半分で尾行をはじめました。

5分ほど歩いた時です。
彼女はその地区では有名な画廊に入っていきました。
尾行をしていた三人組みも中に入っていきました。
入ると三人はとても驚きました。

彼女の名前が大きくポスターになって正面に飾ってあったのです。
顔を見合わせていると画廊のオーナーが奥から現れて、「どうぞ見ていってください」と言われ、しかたなく入っていくと前衛的な彫刻や絵画が飾ってありました。
すべてに彼女の名前がついていました。
その時、彼女が奥から現れました。
とても美しく笑顔を浮かべていました。

三人組みは彼女の笑顔に安心して「覚えてる」などと話し掛けました。
すると彼女は「もちろん覚えてる。あなたたちに見せたい絵が有る」と言い奥に招きました。

そこには、たたみ二畳ほどの大きな絵がありました。
三人組みは彼女の知り合いで有ることを誇らしく思いました。
しかし、よく見てみるとそこには自分たちが描かれていました。
クラス全員と教師などもいました。
その顔は悪意に満ちていて醜態をさらしており、見ていて恐怖を感じました。

そこに画廊のオーナーが現れ「この絵は、関係者からとても評判が良くて国際展に推薦することになったのよ」と言いました。

その絵を書いた彼女を見ると満面の笑みを浮かべて「ありがとう、あなたたちのおかげです」と言いました。
三人組みは怖くなり画廊から逃げ帰りました。

その後、その絵は、さまざまなメディアを通して世界中に晒され、その絵の書かれたエピソードとともに美術史に刻まれました。

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