ハブラシ

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

昔俺の大学の知り合いにしきりに歯を磨き、白くしたがる奴がいた。
そいつの歯は遠目に見れば十分白いんだが、それでも気に入らないらしく日に6回は歯を磨いていた。
そいつは歯磨き粉や歯ブラシにもこだわっていた。
そいつの友人の歯医者のところで少し高い一般人にはあまり出回らないものを使っていたらしい。

ある日そいつの使っている歯ブラシのストックが無くなりかけていた。
その歯医者のとこに歯ブラシを買いに行ったそうだ。
いつも通り友人の歯医者から数十本の歯ブラシを買うと、家に帰って早速歯を磨いたそうだ。

歯ブラシの歯に当たる感触、歯の黄ばみが取れていく感覚が気持ち良いらしく、数日後に1本は駄目になるらしい。

日が経つにつれて歯ブラシは無くなっていき、新しいのを使おうと棚から残りの内の1本を出しいつも通り朝飯の後に磨いた。
そして、そいつはその歯ブラシがいつもと違うことに気づいたそうだ。

歯ブラシの毛の色が少し黄色く、そして太く、いつもより歯が白くなっていたらしい。

歯ブラシがいつもと違うことに嫌悪感を抱いたそうだがそのまま使い続けたそうだ。
それからまた数日たった後、そいつが歯ブラシをしている最中、急に口から血が出始めたんだと。

確かにあの歯ブラシを使ってからは歯が一段と白くなって、歯を磨くにも力がはいってたらしく。
そいつはそのせいで口の中を切ったんだと思ったらしい。

そのまま、また数日使い続けたそうなんだが、今度は血の変わりに口臭がとてもひどくなったそうだ。

そして歯もあまり白くならなくなった。
歯ブラシの毛先のしなりも悪くなり、それどころか歯が汚くなってくるらしい。
そいつはその歯ブラシを使うことを諦めて、ゴミ箱に投げ捨てたんだが。
おかしなことにその後、歯ブラシ自体から悪臭がし始めたんだそうだ。

変に思ったそいつがゴミ箱をあさって歯ブラシを出すと、今までに嗅いだことのない最悪の匂いがしたそうだ。
そいつは段々と怖くなり、歯ブラシを手からすべり落としてしまったそうだ。

落ちた歯ブラシは衝撃で何か小さいものが歯ブラシの毛から飛び散っていったそうだ。
そいつが恐る恐る拾ってみると、それは何か、かさぶたのようなもので、硬く、摘んだだけでぽろぽろと崩れていったそうだ。
問題の歯ブラシはおかしなことに毛の大部分は茶色いのだが、一部白くなっていたらしい。

良く見てみると、骨のようなものが見えたそうなんだが、臭くて顔を近づけけられなかったらしく、なんだったのかは良く分からなかったそうだ。
今でもそいつは歯を磨くことが好きみたいだが、今は市販の高い奴に変えたそうなんだと。

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