念仏唱える乗客

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

幽霊とかはたぶん関係ないと思うけどちょっとビビった話。

俺は今東京で一人暮らししてんだけど、実家に帰るとき夜行バス使ってんのさ。

それで夜行バスってこともあって、出発したらみんなシート倒して寝に入るわけ。
俺は今でも経験ないんだけど、同じように夜行バス使って帰省してる連れの話によると、でっかいいびきかくおっさんなんかが乗り合わせると最悪らしい。

そんである時にその話をふと思い出して、出張とかで東京来るとき同じように夜行バス使ってるおかんに経験あるか聞いてみた。

おかん:「ないねぇ・・・あぁ、いびきじゃないけど、ある意味それ以上に迷惑で寝れんかった経験あるわ。」

以下、オカンの話まとめ。

バスに乗り込んで出発したあと、オカンはいつものように睡眠をとり始めたらしい。
何時間かバスは走った後、途中バスはトイレ休憩のためにサービスエリアに入った。

運良く入ったところで目が覚めたため、身を起こし、トイレに行った。
バスに戻ってしばらくすると、またバスは動き出し高速を走りだした。

オカンはすっかり目が覚めてしまったため、しばらくボーっとしてる状態が続いたらしい。
すると、斜め後ろの席の人がぶつぶつなにかを呟いてる声が聞こえたそうな。

最初は寝言かな?くらいに思ってたらしいんだけど、見てみると目が開いてる。

電話してるんかな。迷惑やなぁ・・・。

みたいに思ってると、すぐに今度は大きな寝息というか、小さないびきというか、そういうのに変わったらしい。

もっぺん後ろ見ると、どうやら半目開けたまま寝てる雰囲気。

やっぱ寝言か・・・と思っておかんはまた前を向いたそうな。

しかし、またしばらくするとまたぶつぶつが聞こえてきた。
気にしないようにしようとしたんだけど、その寝言の声がだんだん大きくなってきたそうな。
それでも無視しようとしたんだけど、とうとう寝言が何を言ってるかわかるくらいになって、おかん眠れなくなったらしい。

えんえんと南無妙法連解経、つまり念仏唱えてたらしい。
おかんに聞こえるっていっても、まわりの人を起こすほどの音量じゃなかったから、そのまま三十分近く念仏地獄が続いた。

おかんもまあ念仏に気づいたときよりはいくらか落ち着いたらしいんだけど、開始30分で場は一転。
なぜか加速度的に音量が上がり、十秒たたないうちに音量マキシマム。
もうそれは叫び声と呼ぶ以外になんと呼ぶと言わんばかりに念仏をわめきちらしだしたらしい。

おかんガクブル。
注意しようにも目が半分開いた状態のため怖くて近寄ることすらできない。
しかもそん時には目が白目剥いててひきつけ起こしたみたいになってたらしい。

さすがにまわりの人も起きだしてきて、みんながおろおろしてると控の運転手の人が登場。
少し困りつつも、その人に声かけたらしい。

すると、まさに目が覚めたみたいにハッとして、正気に戻った様子。
控の人が様態たずねても、全然具合も悪くなかったみたい。
そのあとまわりに二言三言お詫びして場は収まったらしい。

おかん:「その人それからは寝言も言わず目つぶって寝てたけど、さすがにこっちはしばらく寝れへんかったわぁ。はっはッはっ」

別に霊障でもないのにスマソ。
でも明日それに乗って東京かえる身としては・・・たまらない話なんですよ。
失礼しました。

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