きたない前掛け

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

3年位前にあった話なんだけど。
山井ってヤツいてある日、自分含めて友達数人とそいつの家に呼ばれて酒盛りしてたんだよね。

したらその途中、山井がいきなり「この部屋赤ん坊のユーレイでるんだよね~」とかカミングアウトはじめやがったの。

山井って普段からドラッグきめまくってたから、そこに居合わせた友人みんなしてあ~はいはい、みたいな空気だったんだけどね。

笑って流したら山井がまじめな顔して、その赤ん坊のユーレイが幻覚なのか本物なのかを見て欲しいが為に、俺達をお招きしたんだとか。
じゃあ皆で寝ないで確かめようと意気込んでたんだけど。

酒入ってるから一人、二人と自然と横になって寝モードになっちゃってて、俺も気づいたらウトウトしてたところ、友人の浅田に揺り起こされた。

そしたら浅田が「山井がいねぇんだよねぇ~」とか言いやがんの。
時計見たら2時くらいだったと思う。
本当にいないんで浅田と俺で外に山井を捜しに行こうとアパートを出ると、駐車場の縁石にAが座ってんだよね。

お前なにしてんだよとつっこんだところ「赤ん坊うるさくてさ~」と山井。
寝てたから気づかなかったのかもしれないけど、赤ん坊の声なんざ全く聞こえねぇし、別段変わったこともなかった。

薄々気づいてたけど、ここまでヤバイ奴とはな~と思いつつ、山井をなだめて部屋に入れ、寝かしつけた。
その日はそれだけで終わった。

それから一年くらい経って山井が引越しをするんだとかで、引越しを手伝いに行った。

山井の遠恋の彼女Tちゃんが上京してくるんで、二人で住める部屋に移ろうっつーことらしい。
普通だったら業者呼ぶけど京王線の稲城から小田急のよみうりランドだったんで近いからクラスの友人数人で軽トラで片付けてやった。

その日から2週間くらいたって山井また学校来なくなっちゃってさ。
今までは最低でも3日に一度は学校来てたのに、一週間くらい休んでて、ちょうどその時学年末でさ。

「山井は出席足りないからなんとしても連絡とれ」って先生に言われて、山井に電話したら彼女のTちゃんが出たのよ。
山井は寝てて起きないってんで、先生のメッセージをまんま伝えといてとTちゃんに言ったら、相談があるから家に来いとのこと。

めんどくせーけどちょっと深刻そうだったんでおもしろそーじゃね?と浅田と共に山井宅を訪ねたら、Tちゃんが出迎えてくれた部屋の中に山井が見当たらないんで「山井どこよ?」と聞いたら、Tちゃんからとんでもないオカルト話が返ってきた。

・Tちゃんが上京する以前から山井は電話で赤ん坊の幻覚のことを伝えていて、そのことで悩んでいたこと
・山井は赤ん坊は稲城のアパートに憑いてるんだと思って引越しをしたこと。
・Tちゃんは赤ん坊なんて見てないし何も聴いてないのに、山井いわく新居でも赤ん坊が現れるとのこと。
・というより山井の寝言は赤ん坊の泣き声そのものなこと。
・そしてついに昨晩、山井は耐えかねて夜中にも関わらず家を飛び出して依然連絡ナシなこと。

あまりに山井のイカレっぷりに俺と浅田は絶句。
Tちゃんも疲れた顔してたので帰ることにしたんだけど、その帰り途中に浅田が言ったことも軽くショッキングだった。

浅田「あの引越しの日にさ~山井のダンボールあけたじゃん?荷物のなかに汚い赤ん坊のまえかけ見つけたんだけど、これって黙ってたほうがいいかな?」

その後、山井は帰ってきたけど出席足らずで自主退学してさ。
Tちゃん伝いに聞くところ、自分の指噛み切ろうとして格子つきの病院にいっちゃったそうな。

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