つい先月の話。
僕は高校を卒業後、地方の大学に合格出来たので一人暮らしを始める事にしました。
家がそんなに裕福ではないので、安い賃貸アパートを借りることに。
借りた部屋は二階建てで各階に三部屋あり、ちょうど真ん中の部屋でした。
2ちゃんで近所の人には挨拶回りしとけ、っていうレスを見た覚えがあったので、ケーキ片手に左右の部屋へ挨拶をしに行く事に。
一つ目の部屋に挨拶を終え、もう一つの部屋のインターホンを鳴らしました。
すると待っていたかのようにすぐに出て来ました。
中から出て来たのは中年の男の人。
僕:「隣に引っ越して来た○○です」
隣の男:「どうも、××です」
ニコニコして言ってきました。
感じのいい人だなぁと思い、その日はケーキを渡して退散しました。
それから一ヶ月経ったぐらいの日。
部屋でテレビを見ているとインターホンが鳴りました。
覗き穴を見ると隣の男の人がニコニコして立っています。
僕はドアを開けました。
隣の男:「夜分遅くにすみません。これ、お返しです」
そう言って男の人はビニール袋をて渡してきました。
中には沢山のりんごが入っていました。
僕:「やっぱりいい人だなぁ」
そう思ってリンゴを食べました。
それから一週間後。
また隣の男の人が訪ねてきました。
隣の男:「これどうぞ」
そう言ってまたビニール袋を手渡してきました。
僕:「いつもありがとうございます」
お礼を言って部屋へ戻ると中には沢山のシュークリームが入っていました。
美味しくその日の内に食べ終えてしまいました。
それから二日後、また男の人がビニール袋をもってきました。
中には沢山のクッキーが。
親切なのかもしれませんが、あまりの頻度に怖くなってきました・・・。
それから毎日毎日、沢山の食べ物が入ったビニール袋を持ってきました。
僕がいない時はドアノブにかかっていました。
さすがにおかしいと思って、ビニール袋を持ってきた男の人に聞いてみました。
僕:「何でいつもこんなに頂けるんですか?」
隣の男:「以前のお返しです」
そう言うだけでした。
さすがにヤバイ思ってある日、「ありがとうございます。でも、こんなに頂くのま悪いのでもう結構ですよ」と当たりが悪くないように優しく言いました。
するといつもニコニコしてる男の人は急に真顔になり、目を見開いて「もういいの?もういいの?」とブツブツ言い始めました。
僕:「は、はい」
隣の男:「もういいの?もういいの?」
僕:「はい・・・」
隣の男:「分かった分かった」
そう言って男の人は帰って行きました。
その日の夜中、隣の壁がドンドン鳴っている音を聞いて僕は目を覚ましました。
呻き声のような声も聞こえます。
僕は怖くなって布団を被って寝ました。
翌日の夜、いつも男の人が尋ねてくる時間。
もういいと言ったので来ないだろうと思っていたのですが、その時間になると、やはりインターホンが鳴りました。
昨日の事、夜中の騒音を思い出し、怖くなって出られませんでした。
僕が出ないのでインターホンが何度も鳴らされます。
終いにはドアを殴るようになりました。
隣の男:「返せぇぇ!!!!」
隣の男:「おらぁぁ!!!!返せぇぇぇ!!!」
そう言っているのが聞こえます。
5分ぐらい経った後騒音は止み、インターホンも鳴り止みました。
僕は様子を見に覗き穴を覗くと、「返してよ」と、男は向こうから覗き穴を覗いてそう言いました。
覗き穴を見た時って一瞬、暗くなるんですよね。
隣の男はずっと覗き穴を見ていたんだと思います・・・。
翌月に貯金はなかったけど、借金して引っ越しました。