前に住んでたマンションの話。
そこは階段がけっこう広くて、エレベーターを使わない人も多かった。
で、もうひとつ特徴的なのはネコ。
マンション周辺にネコが多い。
もちろん、マンションの廊下なんかにもぞろっと居る。
でもみんな、もう慣れっこなのか、誰も何も言わなかった。
自分も引っ越して今の場所に来るまでは、特に気にかける事もなかった。
ネコの方もかなり人間慣れしていた。
で、ある日をネコ数匹が決まってマンションの下の同じ場所で死んでいる・・・というちょっとした事件があった。
どうやら転落死のようで、高層階から落ちたようだった。
この一連の事件が起きたのは、隣の人が引っ越していってすぐに新しい人が入ってきてから間もないことで、今考えるとすごく怖い・・・ものを俺は見ていた事になる。
新しく入ってきた人の部屋の前にあった、透明なプラスチックっぽい板の事・・・。
ネコの餌が入った袋・・・。
その後もちょくちょくそういうネコの変死はあった。
やがて引っ越した(といっても隣の駅に)俺だが友人が衝撃的なことを教えてくれた。
友人:「お前の隣に住んでたやつな、捕まったぜ」
話を聞いてみると、その隣人は透明なアクリル板を、マンション壁の外側に突き出るように固定させ、その先にネコのエサを置いていたらしい。
それが発見されたのが俺が引っ越してからすぐのことだった。
ちょうどネコが餌を食べているアクリル板を、揺らしていてネコは転落。
奴は通報され、捕まったとの事。
アクリル板を揺らしていたその顔は、実に気味の悪い「ニヤニヤ笑い」だったとか。
今でも思い出すと、薄ら寒くなる。