ホテルに泊まりたくありません

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

一昨日と昨日、用があって都内のホテルに泊まっていました。

一昨日の深夜二時頃、隣の部屋からシャワーの音が聞こえてきました。
さして気にもせず、音が聞こえる中、その日は眠りにつきました。

そして昨日、都内での用事を全て済ませ、ホテルに戻りました。
確か九時頃だったと思います。
部屋で夕食を摂っていると、また隣の部屋からシャワーの音が聞こえてきました。
それがいくら経っても鳴り止まないのです。

まず三十分くらいで少し長いかな?と思いました。
しかし、それは序の口で、一時間経っても鳴り止みませんでした。

一時間半経っても鳴り止まず、二時間が経とうかという頃にようやく鳴り止みました。
もう日付が変わっていました。
前の日に部屋を変えてもらわなかった事を少し後悔しましたが、次の日(今日)は早く帰らなければいけなかったので、もう気にしても仕方ないと思い、少し苛立ちを感じながら眠りました。

今日、シャワーの音で目が覚めました。
また隣の部屋です。

その時隣にいる人は絶対におかしいと確信しました。
昨日二時間近くもシャワーを浴びたのに、次の日の早朝四時半にまたシャワーを浴びているのです。
少しぞっとしましたね。

部屋に忘れ物がないかどうかの確認が終わった私は、五時頃部屋を出ました。
部屋のドアを閉めたその直後、隣の人の部屋のドアが開きました。

そこには、髪をビショビショに濡らし、背は普通でガッシリした体格の中年の女が立っていました。
そして目を思い切り見開き、何故か私のことを睨んでいるのです。
この時点で泣きそうなほど怖かったのですが、その女がいつまでもそこに立っているため、廊下を通るに通れず、泣きそうな声で、「すみません・・・・・・」と言ったら、オーバーな手のアクションとやたらハッキリした声で「どうぞ!!!」と言われました。

塗れた髪の毛と、見開かれた目と相俟って、ホラー以外の何物でもありませんでした。
そしてエレベーターを待っている間も、そこに立ち続け私の方をずっと見ているんです。
エレベーターが一階から六階へ上がって来る時間が物凄く長く感じられました。

そしてエレベーターのドアが開いた時です!
女が駆け寄ってきました!

あの女と二人で乗ったら絶対にいけない!と思い防衛本能が働いた、とでも言いましょうか、私は階段を全速力で駆け下りていました。
女が後から追ってくる様子はありませんでしたが、フロントについた時には、私は恐怖のあまり涙を流していました。

フロントの方に不審に思われたかもしれません。
会計を済ませ、領収書を財布に納めた時、一階のエレベーターが開きました。
すると、”あの”女が出てきました。

怒ったような足取りで、フロントにキーも預けずに私を睨んでホテルの外へ出て行きました。
私もフロントの方も、何も言えなくなりました。

本当に怖かったですが、何も危害が加えられなかったことだけは良かったです。
トラウマになってしまい、今後ホテルに泊まりたくありません。

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