人身事故を目撃したオカマ

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

電車の人身事故の話しでひとつ思い出しました。

もう10年以上前になりますが、友人数人と夜遊びして明け方に駅前のラーメン屋(2階)でラーメンを食べていたときのことです。
ラーメン屋の窓からは駅のホームが見え何気なく見ていて気が付いたんですが、電車がホームに停まったまま全然動く気配がないんですよ。

『あれ、なんであの電車停まったままなんだ?』

なんて思いながら見ていたら、駅前に救急車がやってきました。

友人2人にも「なんか救急車が来たよ。何かあったのかな?」と言うと「何だ何だ」と窓際に集まってきました。
3人で窓から「事故?えー、酔っ払いじゃん」などと様子をうかがっていたのですが、駅員さんがバケツを持って来て、どうやら線路に水をまいているようです。

「酔っ払いがゲ◯でもしたんじゃないの?」

そう言いつつしばらく見ていると、さっきの救急車に続きパトカーが数台やって来ました。

「ゲ◯じゃ警察は来ないだろ!」

まだガキだった私たちは一斉に立ち上がり、支払いを済ませると駅に走りました。
入場券を購入し、ホームへ上がってみました。
そこにあった光景は私たちの想像通りでした。
ほぼ事故後の処理を終えた駅員さんたちは数人で線路に飛び散った血を洗い流していました。

早朝だったこともあり、ホームには人があまりいなく、私たちはホーム中付近にある駅員室(?)の前で駅員さんの作業をなんとなく見てました。

「あなたたち、見た?」

突然後ろから声を掛けられました。
振り向くとそこには前身紫色の服(下はスカート)を着て、なんだか変な帽子(よく皇室の方々がかぶっているようなやつ)をかぶった厚化粧のオカマの人(中年)が怖い顔をして立ってました。
白っぽいストッキングを穿いているんですが、その中は毛がボーボーなのが透けて見えてます。
唖然とする私たちに向かってそのオカマさんは続けました。

オカマ:「私、見たの、飛び込みよっ、私全~部見ちゃったのよっ!男の人がね、走って飛び込んだのよ、で・ん・しゃ・にっ!」

私たち:「・・・はぁ・・」

オカマ:「ばらばらになっちゃったのよね~、ホラっ、あなたたちの後ろにあるでショッ!」

私たち:「?(後ろを振り向く)」

言われるまで気が付きませんでしたが、そこには白い布をかけたタンカが置いてありました。
布の端っこからは男性のものらしき足が2本出ています。
ですがその足の向きは明らかに不自然なんです。
なんというか、ありえない方向を向いているんですよね。
布の真ん中あたりには血がにじんで赤く染まっていました。
そしてもうひとつ変な点が。

布の盛り上がりがやたら短いんですよ。
それに気が付くと同時に、タンカの横にもやはり白い布をかぶせた小さな物がちょこんと置いてあることに気づきました。
その『物』が何かはすぐに想像がつきました。
ちょうど人の頭くらいの大きさのふくらみ・・・。

私は無意識に紫色のオカマのほうを振り返ってました。

オカマ:「分かるでしょっ、あれ。ア・タ・マ」

オカマの人はなんだかちょっと嬉しそうに言いました。

私たちはオカマが言い終わらないうちに手をとりあって走ってました。
駅を出ても皆無口でした。

『見に行かなきゃよかった』

全員がそう思っていたはずです。
でも・・・。
ご遺体よりも紫色のオカマの人のほうが怖かったかも。

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