『奇跡の生存』

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

4年前、流産した日の夜夢を見た。

10代と思われる男子が座っていて、赤ん坊を抱いてあやしていた。
何故かそれが成長した長男と流産した赤子だと、直感的に思った。

彼は私に向かって「お母さん、この子は僕が面倒みるから安心して」と笑って言った。
私は自分の泣き声で目覚めました。

長男の死後2ヶ月のある日、私は5歳の長女を乗せて運転中、ミスって崖から落下。
数分気絶後目が覚めたら私と娘は車の外に投げ出されて谷底の浅い小川に。
車は川岸で大破していた。

崖の高さは50m、警察やレスキュー隊に『奇跡の生存』と言われた。
娘と同室に入院し、そこで警察の事情聴取。
脱出状況を聞かれたが記憶にない。

すると隣のベッドの娘が突然「車が飛んだ時に、ガラスが割れて、お兄ちゃんが引っ張り出してくれたよ。見たもん。」と言い出した。
私はそれを聞いて泣いてしまいました。
何故なら警察の現場検証でも、我々親子の脱出経路がわからないと言われた後だったからです。

長男の死後、長女がやたらと「お兄ちゃんを見た」「お兄ちゃんの声が聞こえた」と言いはじめた。

お兄ちゃん大好きな子だったから寂しくてそう言うのだろうと思っていた。
幼い子独特の幻だろうとも。

そんなある日、娘が「お兄ちゃんが、お天気の神様と仲良しになったって言ってたよ」と言い、それ以来娘は『晴れ女』になった。

娘のイベントの日は必ず晴れます。
その晴れ女っぷりは半端ないもので、台風直撃中も娘のいる場所だけ雨が降らなかったり、吹雪の日も娘がでかけようとすると雪が止んだりします。

娘は「お兄ちゃんが自分が濡れないように守ってくれている」と信じ続けています。

もちろん私も。

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