俺は霊とかあんまり信じてないんだが、所謂妖怪ってのはいると確信している。
今まで俺が妖怪を見たのは人生で2回だけ。
その内の1回をちょっと書いてみようと思う。
当時俺は小学5年生だったかな?
祖父がガンで死んでしまったので、急遽東北のド田舎に帰る事になった。
お葬式もなんなく終わって、大人は片付けがあるからお前は散歩してこいと言われ、祖父母の家の裏手にある山を散歩する事にした。
この山は何度も遊びに来てるし慣れたもんで、迷う事なく一人で山をブラブラしていた。
30分ぐらい山の中をうろうろしていると、遠くに神社の鳥居が見えたんだ。
そういえば、いつも車の窓から山を眺めていると、山の中に無数の鳥居が見えた。
当時の俺は「何で山の中なんかにたくさん神社があるんだろー」って不思議に思ってたんだ。
ちょうど山をブラブラするのも飽きたし、1番近い鳥居の方へ行ってみる事にした。
鳥居の下までたどり着くと、無数の階段が上の方まで続いていた。
正直ここまで来るのにかなり疲れていたが、せっかく来たんだし1回拝んでから帰るかーと思い、そのまま階段を上った。
ようやく階段を上って辺りを見回すと、そこにはボロボロのお寺とは思えない建物があるだけ。
「そりゃーこんな山奥に作ったらそうなるわなw」と、当時の俺は特に不気味に思う事なくそのお寺に近づいて1回拝んだ。
拝んでいると神社の裏の方から水の流れる音がしたんで、裏手に回ってみると、案の定細くてあんまり深くない川が流れてた。
水遊びするにはもってこいの場所だ。
「いいとこ見つけたわーw今度みんな連れてこよう!」とか考えて、一人で川に足突っ込んで遊んでた。
そしたら、川を挟んだ反対側に何やら動く物体が見えた。
「うわー熊かな?やべぇ・・・どうしよ」とかしてると、それはゆっくりと木の物陰から出てきた。
なんて説明したらいいのか自分でも分からんが、調べた中で一番似てると思ったのはマンドラゴラ。
ぱっと見た感じただの木みたいな感じなんだけど、たしかに歩いてるし、下の根っこのような物が蛇みたいにくねくね動いてる。
人間と同じぐらいのサイズかな?もしくはちょっと大きいぐらいで、4つ葉のクローバーみたいな形した頭があって、口みたいなのがついてる。
下半身は木の幹みたいな感じで、足には根っこのような物が無数についてて、それが蛇みたいにくねくね動いてる。
分かり辛かったらすまん・・・俺にはこれが限界だ。
とにかくそんな見た事もない生物が、たしかに俺の目の前にいて動いてる。
勿論すぐに逃げて、全力疾走で山を駆け下りた。
家に駆け込んで、とりあえず姉と従兄弟に事情を説明した。
そりゃーもう必死になって、見た事ない生物がいた!やばい!って。
そしたら案の定大爆笑。
姉は漫画に夢中で聞く耳持たないし、従兄弟は腹抱えて笑ってる。
こうなったら実物を見せようと思って、姉と従兄弟を強引に引っ張って山の方へ連れていった。
先ほどの鳥居まで行き、階段を上がって神社の裏手に回り、物陰からバレないように覗くと、奴はまだそこにいた。
未だに文句を言ってる2人を神社の裏手まで連れていって、たしかにそこにいる見た事もない生物を指指して2人に見せた。
もう2人とも唖然。
それを見た瞬間、従兄弟は口開けたまま動かないし姉は「やばい!早く逃げるよ!」って言って真っ先に逃げた。
俺と従兄弟もすぐに姉を追って家に逃げ帰った。
いつの間にか恐怖感も薄れて、俺はとにかくワクワクしていた。
だって見た事もない生物がたしかにいて、それを目撃できたんだから。
姉に「明日も見にいこうよ!」と言うと、姉は「もう・・・行くのはやめよう」と言った。
「あれはきっと私達の見間違い。風で木が動いてるように見えただけ」と言って、それ以来姉はあの生物の話をしなくなった。
もう20年も前の事だけど、久々にあの時の話を姉にすると、「もう忘れちゃった」とバレバレな嘘をつく。
でも実は5年後ぐらいに、また一人であの場所に行ったんだどうしても見間違いじゃないって事が証明したくて、カメラを持って一人であの場所へ行った。
鳥居は前と変わらずそこにあって、上へ続いてる階段を上がっていけば神社があるはずだった。
でも階段を上がると、視界を塞ぐ程雑草が生えてて前が見えない。
神社がどこにあるのかすら分からないぐらい雑草が生い茂っていた。
そしてやけにここだけ蜂が密集してて丸で神社を守ってるみたいに。
無数の蜂がブンブン飛んで俺を威嚇していた。
これじゃ神社に近づけない。
でも普通に考えて、5年前までは雑草なんて全くなかったんだ。
ということは・・・誰かが管理してる。
管理してる人があいつの存在を知らないわけがない。
と思って、近くの住民にさりげなく聞いてみた。
「あそこの神社で前不思議な物見た気がするんですよー」って。
そしたらあからさまに嫌な顔をして、「もう近寄るんじゃないよ」って言われた。
多分地元の人はあいつの存在を知ってるんじゃないかな、と思ってる。
でもどんなに聞いてもそれ以上は教えてくれなかった。