私の同僚に起こった不思議な話。
私の同僚の名前は仮に佐藤さんとしておきます。
佐藤さんはよく働く忠実な人で会社での信頼もある40過ぎのおじさんです。
仕事上の私の至らない面な部分とかも私の知らないうちに直してあったりで本当に御世話になってます。
上記のような事とかがあって、それについて御礼を言ったりすると「あっ、直してた俺?」なんてとぼけたりするようないい感じの人です。
これから書くのはそんな佐藤さんに起こったお話です。
ちょっと長いかも知れませんがお付き合いくださると嬉しいです。
去年の夏が過ぎようとしていた頃でしょうか、めずらしく佐藤さんが「いやぁ最近疲れが溜まってきてるのかな、肩凝りが酷くてね。」
なんて事を言ってたんです。
日頃から真面目だし仕事での愚痴なんかも佐藤さんの口からは聞いた事が無かったので少し吃驚しましたけれど、そこは忠実な佐藤さんの事、傍目から見ていても働き過ぎなんじゃないかなと思うくらいに見えるし疲れが溜まるのも無理ない話だよねと思って「佐藤さん、だって働き過ぎなんですよ」なんて言葉をかけると、佐藤さんも「そうかもしれないなぁ、確かに御盆過ぎからは特に忙しかったしな。
今頃夏バテかな?」なんて笑って同調してました。
そんな愚痴を言う割に佐藤さんの笑顔がとても快活なので私もやっぱり働き過ぎだよねなんて思いつつ「そうですよ」なんて笑って返しました。
そんな感じで一週間くらい過ぎたあたりからでしょうか、佐藤さんの様子がちょっとおかしくなってきました。
顔色もあまり良くないようでした。
「どうしたんですか?」と私が聞くと
「うーん・・・どうも肩凝りが酷くなっていってる感じかなぁ。」との答え。
それを聞いて流石に私も心配になって「一度病院に行ってみたらどうですか?」
と言うと佐藤さんはしばらく考えてから
「うーん・・・その方がいいな。早めに診てもらってくるよ。」と病院に行く様子。
そしてそれから3日か4日後くらいに病院に行って診察を受けました。
病院に行ったら結果教えて下さいねと佐藤さんに言っていた私の所に佐藤さんが来て結果を話してくれました。
「病院に行って検査とか受けてみたけれど、医者は特に問題は無い、働き過ぎからくる疲れが溜まっているんじゃないかとしか言われなかったんだよな~
・・・個人的にはそのレベルじゃないくらいに酷いと思ってたから何かの病気かなとか思ってたけれど・・・
俺も年齢上、流石に身体がくたびれてきたかなぁ」との事でした。
結果が問題ないって事を聞いて私も安心して
「あんまり頑張り過ぎちゃだめですよ!」と念を押す感じで言いました。
佐藤さんも「そうだなぁ、そろそろ身体の事も考えて仕事するようにしていかなくちゃなぁ」
と言っていました。
結果を聞いて私も佐藤さんも安心した感じだったのですが、やっぱり佐藤さんの肩凝りは日に日にひどくなる一方で良くなりませんでした。
しばらくたったある日、仕事が終わった後に友だちと呑みに行く約束をしていた私は定時に仕事を上がり、佐藤さんにお疲れの挨拶をしに行きました。
佐藤さんは今日も残業していく様子でした。
「お疲れ様です、佐藤さん。あんまり頑張らないって言ってたのにだめですよ。」
と声をかけると
「おお、お疲れ。いやあ、ああは言ったもののやっぱり動いてないと落ち着かなくてね。」
と佐藤さん。
「そうですか・・・。でも無理はしないでくださいね。」と返すと「ありがとうね」
と佐藤さんは笑ってましたが、笑った顔も疲れきっている感じでした。
「これから上がり?」そう佐藤さんに聞かれたので私は
「はい、今日は友だちと呑みに行く約束してまして。」と答えると
「そうかそうか、楽しいといいな呑み会。」
と言ってくれて下まで見送りに来てくれるとの事になりました。
下で友だちが迎えに来るまで佐藤さんとしゃべったりしていると友だちが来て、私は佐藤さんに挨拶をして友だちの車に乗りました。
佐藤さんは車が発進するまで玄関口で手を振っててくれてました。
そんな様子を見て友だちも「いい同僚さんがいるね。」なんて
佐藤さんの事を誉めていました。
呑みに行って色々話していると友だちが
「ねぇ、さっきのあなたの同僚さん、最近何か変わった事とかない?」
なんていきなり聞いてきました。いきなりなんだろうと思って
「どうして?」と聞き返すと友だちは少し考えたあとこう言いました。
「・・・うん。私さぁ結構不思議なものとか見える体質なんだ、昔からさ。」
「不思議なもの?」
「うん、霊とかさ。」
「えっそうなの!?」
「まぁあんまり人には体質の事言わないけどさ、気味悪がられたりするしさ。
でもさ、さっきさ、あなたの同僚さん見た時さ、かなり酷い感じだったから
聞いてみたんだよね。」
「かなり酷いって何が酷いの?」
「・・・憑いてる数がさ。あんなにいっぱいのせてると
疲れが多分どっかに出てるんじゃないかと思ってさ。
ちょっと数が普通じゃないから気になって聞いてみたんだよね。」
驚愕な事を聞かされました。
今までそんな可能性だとか全然考えてもいませんでした。
でもいきなり言われても信じれないので最近の事を佐藤さんに聞いてみようと思いました。友だちもそうした方がいいって言ってましたし・・・。
次の日、休憩時間にそれとなく佐藤さんに最近の事を聞いてみました。
佐藤さんははじめ話すのが嫌そうな感じでしたが私の真剣な感じがわかったのかこう話してくれました。
「実は・・・最近、家で寝ていたりすると耳元で誰かしゃべってる声が聞こえたり、
金縛り?みたいなのにもよくなっていて・・・。
俺は一人身だから、誰かの声がするだとかそんな事はありえないだろ。
なのにそんな声が聞こえてきたりするものだからちょっと精神がまいっているのかなと思って
精神科にでも行こうと思っているんだよ。」
これを聞いて私も吃驚しました。友だちの言っている事が正しいとすれば
声が聞こえてきたりするような事もあるかもしれません。
私は昨日、友だちに聞いた事を佐藤さんに話してみました。
佐藤さんも少し半信半疑な様子でしたが、話を聞いている最中、ふと
「そういえば・・・肩凝りが始まった頃から変わった事が一つあるな。」
と言い出しました。
それは何か私が聞くと
「うん、いつも車で帰っているルートが今工事中で、最近はちょっと違う道を通って帰っているんだ。」との事でした。
でもそんなルートが変わったくらいでそんな現象が起こるものかどうかがちょっと二人とも?な感じだったので友だちにその事を話すと、知り合いの霊能力者を紹介してくれるとの事でした。
その事を佐藤さんに話すと佐藤さんはやっぱり半信半疑でしたが、とりあえず話だけは聞きに行ってみるという事になりました。
そして佐藤さんはその霊能力者の所まで相談に行きました。
相談が終わって帰ってきた佐藤さんは別人のように元気になっていました。
何があったのかいうと実は佐藤さんは霊を呼んでしまいやすい体質であった事、それと変わった帰りのルートが実は有名なスポットを通る事になっていたという事でした。
そのスポットを佐藤さんが通る事でそこに居着いている霊を知らず知らずのうちに引っ張り続けていたらしいです。
帰る道を変える事とお払いをしてもらう事で嘘のように肩凝りは消えたと言う事でした。
佐藤さんから聞いた霊能力者の話の一部が今でもとても強く私の記憶に残っています。
「帰る度にドスンドスンと重くなっていってた筈よ。
トレーニングマシンの負荷が上がるようにね。
・・・でも大事にならなくて良かったわね。
あのままその道通り続けてたら今きっとあなたこの世にいなかったかもしれないし。」
佐藤さんからはたくさんの御礼の品をもらいました。
不思議な事ってあるんですね・・・。