小学生の時、俺のオオクワガタを盗んだ近所の上級生を自己流で呪ったら車にはねられた。
同じく小学生の時、ケンカでフルボッコにしてくれた同級生を呪ったらまた車にはねられた。
中学生になって俺を標的にいじめを仕掛けてきた連中を呪ったらやっぱり車にはねられた。
はねられたのは一人だけだが首謀者。
正直少し怖くなったが、他に呪ってもはねられてない奴もいたし、オオクワガタは返ってこなかったし、同級生にはまたフルボッコにされたし、偶然だと思った。
さすがに骨折したいじめの首謀者はそれどころじゃなくなって、いじめは終息したけど。
親友に呪いのことを話すと、笑いながら言いふらしてくれやがった。
それを恨んだわけでも呪ったわけでもないのに、1ヶ月くらいして親友が車にはねられた。
翌日には登校してきたけど、親友じゃなくなってしまった。
同級生は微妙な感じで俺に接するように。
それでも、卒業まで特に何も起きず、呪いの話は笑いのネタ程度になった。
呪いなんてするもんじゃないなと思って封印。
それから何年も経って、就職先で上司のパワハラに悩まされ、また呪いをかけた。
子供の時と違って、病んでたんだろう。
後で鬱だって言われた。
ある日駐車場で俺は人をはねてしまった。
相手は上司だった。
決してわざとじゃないし、狙ったわけでもない。
物陰から不意に出てこられてゴンと当たってしまった。
上司は数日入院。
見舞いに行って謝ると、「気にするな」と言われた。
退院前に俺は配置転換されてパワハラからは解放された。
あとで聞いたけど、上司は誰かに押されたって言ってて、それで事件かもって騒ぎになったらしい。
一応俺も疑われたとか。
上司が事故の時の慌てぶりを証言して、そんなことする奴じゃないと言ってくれたらしい。
社用車のドラレコには押されたように出てくる上司が映ってたとか、押した手も映ってた、子供の手だったとか噂になった。
俺は見てないし、直接見たって人もいなかったけど。
正直今でも呪いなんか信じてないけど、遊びでももうやらない。
信じてなくても怖いし、必ずしもいいことばかりでもなかったし。
今は呪うような考え方はしなくなった。
理不尽な目にあったら、堂々とやり返す方がよっぽど健全だわ。