昔の話だから、若干の記憶違いがあるかもしれないし文才もないけど聞いてくれ。
小学校の低学年の頃、俺と兄弟と近所の数人で遊ぶことが多く、その日は家の近くの川で遊んでいた。
川と言っても水の深さが10センチくらいのコンクリでできた、用水路っていうのか?とにかくそこで遊んでいたんだ。
その用水路を進んで行くと小さな小屋がある。
その小屋の近くは何度も通ったことはあったけど、中には陶器?でできた人形が20体くらい並べられていて、怖くて入れなかった。
怖がらせてやろうと思った俺は、その小屋の近くまで来た所で、友達を一人誘ってその小屋に連れて行った。
小屋の高さは2メートルもないくらいの木製の建物で入り口にドアはない。
二人で小屋に入ると、下はみたらし団子くらいの大きさのすべすべした石が敷き詰められていて、壁には舞妓さんが付けてるような花かんざしがいくつか飾ってあった。
友達が「こえー」と言っている横で、何を思ったのか俺は「このやろー」と言って拾った石を人形に投げた。
当てるつもりはなかった。
俺は怖くないという強さを友達に見せたかったんだと思う。
でもその石が人形にあたり、ひとつ割れてしまった・・・。
割れた事と割れた音にびっくりして友達とその小屋から逃げ出した。
人形を割った事を言うと親に伝わり叱られると思い、兄弟や他の友達には黙っていてくれと友達に言った。
数日後、家族で夕食を食べていたら祖父が変な夢を見たと言い、夢の話を始めた。
祖父が言うには、人の形をした光のようなものが降りてきて「早く直せ、早く直せ」と繰り返すそうだ。
それを聞いた父が自分も昨日同じ夢を見たと驚いていた。
俺はあの人形の事だと思った。
呪われると思い、怖くて泣きそうだった。
誰か何か心当たりはないかと言う話になり、怖くなった俺は小屋で人形を割ってしまったことを話した。
普段優しい祖父だったが、その時はすごく怒られた。
そしてあの場所の事を教えてくれた。
あそこには足の神様がいて、足の悪い人がお参りする場所。
とても厳しい神様なので、その人形を直しても許してくれるか分からないと言われた。
夜も遅いので明日の朝、その小屋に行く事になった。
次の日、祖父と父と俺の3人で小屋に行った。
人形は割れたままになっていた。
3人で破片を集めて接着剤でくっつけて直した。
どのくらい時間がかかったかは覚えていない。
そして元の場所に置き、3人で手を合わせて謝った。
その後は何も起こらなかったから、許してもらえたのかもしれない。
これが俺が体験した不思議な話。