死者の嫉妬

会社の同僚から聞いた話。

以下、同僚=私

高校生の時、当時のバイト先で彼氏ができた。
同じバイト先に彼氏の元カノもいたけど、彼氏と付き合う前に1度会ったくらいで、ほとんど面識はなかった。

付き合いだしてしばらくした頃、夜に待ち合わせて彼氏の車に乗ったとき、立ち寄ったコンビニの駐車場で、彼氏が缶コーヒーを片手に口を開いた。

彼氏:「あのさ、」

その途端、涙がポロッとこぼれた。

彼氏:「元カノ・・・亡くなったんだ」

涙は次から次にポロポロこぼれ始めていた。

私:「今から会いに行く?・・・って泣いてるの?大丈夫?」

彼氏が私の頭を撫でようと手を伸ばしたその時、ベキッっと、彼氏の缶コーヒーが凹んでいた。
私は怖くなって、結局彼氏の元カノに会いに行くことはなかった。
亡くなったのは3日前だった。

そんな出来事から1週間位経った頃。
下校前に彼氏に「学校終わったよー」とメールを送って、いつも通り自転車に乗った。
自転車を漕いでいると、カバンから「ハヴァラギィシャグファヴ」(なんとか文字にするとこんな感じ)って、呪いの呪文みたいな、ボコボコ音みたいなのが聞こえた。

当時私は携帯の着信音をテッドっていう映画のキャラクターの声に設定していて、メールがくるとかわいらしい声で「Iloveyou!」と知らせてくれるものだった。

だからまさか・・・と思いながら携帯を取り出してみると、メールが1件。
開いてみたけど、文字化けしてて読めなかった。

携帯が壊れた??と思ったけど、少し経ってから見てみるとちゃんと読めた。

彼氏から、「俺も学校終わったよー」って感じの返信だった。
「お疲れ様」って返して自転車を漕いでると、また変なボコボコ音でメール1件。

見ると、やっぱり文字化けしてて、少し漕いでから見直すと読める。
彼氏からで、「まだ帰り?」とかそんな他愛のないものだった。
適当に返して家のエレベーターで携帯を見ていると、またボコボコ音でメール1件。
やっぱり着信音らしい。
このときには少し面白くなってて、変な音wとか思っていた。

家に着くと母はまだ仕事中みたいで、母の彼氏がいた。
この人とは普通に仲良しだったので、「みてみて、携帯壊れて変な音するようになったw」と携帯を置いて二人で待つこと数分。

「Iloveyou!」
「壊れてないじゃん」

いつもの着信音だった。

母の彼氏が風呂に行ったので、友達に電話で報告した。

私:「携帯壊れたかも。直すのっていくらくらいかかるのかなあ」
友達:「壊れたの?」

私:「うん。メールの着信音が変なボコボコ音になって、メールも文字化けして読めない。少ししたらちゃんと読めるようになってるんだけど」

友達:「そういえばあんたの彼氏の元カノって亡くなったんだよね、なんで亡くなったの?」
「元カノてんかん持ちだったらしくて、お風呂で発作起こして亡くなったって聞いたよ」

友達:「あんたさ・・・それじゃない?」

やめてよ!!って叫んで電話を切った。
でも妙に納得してしまって、急に怖くなった。
そんな話をされた後だからもうお風呂が怖くて怖くて、でも流石に母の彼氏に一緒に入ってもらうわけにもいかず、おそるおそる交代で風呂場へ向かった。

私はお風呂でいつも音楽をかけるので、今日は特に楽しそうな曲をチョイスして再生。
早く済ませてしまおうと、目を閉じて顔に泡をつける。

その瞬間、音楽が止まった。

慌てて泡を流して音源に目をやると、再び音楽が再生され始める。
それからはもう音源ガン見で体を洗い、湯船に浸かった。
なんとか無事に体を洗い終えたことで少しほっとして、2秒ほど目を閉じた。

次に目を開けたとき、浸かっていたはずの湯がカラッカラになくなっていた。
本当にカラッカラだった。

私の体は濡れていたけど、浴槽には水滴が一切残っていなかった。
でも、さっきまでそこにお湯があった証拠のように、体も浴槽も温かかった。

混乱しながら脱衣所に逃げ込むと、ちょうど母が帰ってきていた。
母にわけを説明しても(当たり前だけど)信じてもらえなかった。

寝る時間にどうにか母に一緒に寝かせてくれないか頼んだけど、母の彼氏がいたこともあって、とりあってもらえなかった。
仕方なく、せめてもの抵抗として指を十字にした状態で自室で寝た。

夜中、ゴトゴトという音で目が覚めた。
仰向け状態から右を向くと、ゴミ箱が三角形を描くように動き、視線に気づいたかのようにピタリと止まった。

不思議と恐怖心はなく、「あ、トイレ行こう」とゴミ箱を横切って部屋を出た。
ゴミ箱が動いていたのは絨毯の上で、仮に動いたとしても音はしないはずだった。

トイレに付いた途端、ドッと冷や汗が出てきた。
もう部屋には戻れない。
トイレの前の廊下を、左に行けば自分の部屋、右に行けば母の寝室がある。
恥をしのんで、母をトイレから呼ぶことにした。

「おかあさーーーーーーーん!!ちょっときてーーーーーーーーーーーーー!!」

何度呼んでも、母も、母の彼氏も、起きてこなかった。

母はどちらかというと眠りが浅い方で、寝ているすぐ側を通っただけで、目を覚まして「なに?」と話しかけてくるタイプ。

そんな母が起きてこないことの違和感がすごくて怖かった。
でもトイレで朝を待っている間に何かに襲撃される方が怖いと思った私は、思い切ってトイレを飛び出して、走って母の寝室に向かおうと考えた。

幸いトイレのドアは右開きだったので、部屋の位置的に全開にせず出ることが出来た。

ガチャッ!
ぼんっ

ドアが、死角にいた何かにぶつかった。
ドアはそのまま閉めた。

感触や音からして、硬いものではなかった。
人みたいだった。

でも仮に人だとして、あれだけ呼んだのだから母ではないだろうし、母の彼氏なら心配して声くらいかけてくれてもいいと思う。
私には姉もいたけど、数週間前に同棲すると出ていったきりで、今家には3人しかいないはずだった。

じゃあ、誰?

じっとしていても怖い想像ばかり浮かんで仕方なかったので、次に何かにぶつかっても絶対に引き返さないことを誓って、トイレから飛び出した。
踏み出した床は何故か濡れていたが、構わず母の寝室に飛び込んで朝を待った。

翌朝見てみるとトイレの前はビチャビチャに濡れていて、母には私が勝手に浴槽のお湯を抜いた上に、トイレの前を水浸しにしたことにされた。
それ以来、恐怖体験に出会うことはなかった。

それから一週間後、彼氏からフラれた。
彼氏にもなにかあったのかもしれないけど、それはわからなかった。

以上です。

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