怨念は海を渡る

カテゴリー「怨念・呪い」

同級生の話。

大学のサークル仲間でキャンプをしていた時のこと。
寝る前に水場へ三人ほど水を汲みに行ったという。

テントにいる者がシュラフの準備等していると、突然水場の方から甲高い悲鳴が聞こえた。
取る物も取らず駆け付けると、社会人の先輩が一人、地面の上で大の字になっていた。

呻き声を上げている。

他の二人は腰を抜かした様子で、ポリ容器を抱えて座り込んでいた。

何があったのか!?と聞くと、突然大きな牛のような動物が繁みから飛び出してきて、先輩を角で跳ね飛ばして走り去ったのだという。
それも日本の牛ではなく、アフリカにいる水牛のような角をしていたのだと。

倒れている先輩の上着には、泥で付いた足跡のようなものが残されていた。
牛の蹄の跡とも取れないことはない。

しかし、不思議なことに、周りの地面には足跡がまったく残されていなかった。

苦労しながらも何とか麓の車まで運び、病院へ搬送した。
先輩は肋骨と鎖骨が折れていたが、命に別状はなかった。

小康状態になった先輩と話してみると「そりゃ確かに水牛だろう」と言う。

何でも、先輩はかつてアフリカへ旅行したことがあり、その折に水牛を怒らせるようなことをしでかしたらしい。
何とかその場は逃げ出したのだが、その後現地のガイドから注意された。

現地のガイド:「水牛は執念深い。一度狙われたらどこまでも、例え地の果てまでも追いかけていって復讐する。
すぐにこの地を離れた方がいい」

先輩:「まさか日本にまで追いかけてくるとはなぁ。悪さはするモンじゃない」

先輩はそう言って、しみじみと溜め息を吐いたそうだ。

動物の怨念ってどこまでも追ってくるんですね・・・。

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