怖いっつーか、不思議な話。
20年ほど前、まだ俺が小学生の頃のこと。
当時、俺はクラスでイジメを受けていた。
今考えるとそこまで深刻ではなく、からかいの対象程度だったんだが、当時の俺には凄く恐くて、そいつらが病気になって学校休んでくれないかとか、事故に遭ってくれないかとか、そういうことを毎日考えていた。
ある日、ふと思いついて、両親の部屋にあったキューピー人形と裁縫箱から針を持ち出して、そいつらの名前を書いた紙を人形に貼り付け、呪いの藁人形代わりに顔や体にグサグサと針を刺していった。
10本くらい刺して、それは引き出しの奥深くに片付け、翌日、そいつらが死んでたらいいな・・・と思いながら眠りについた。
残念ながら翌日、そいつらは死んでなかった。
いつものように学校にいき、いつものようにからかわれた。
ところが、夕方祖母から電話があった。
『昨夜、お前に体中に針を刺される夢をみたけど、何か変わったことはないか?』と。
誰にも見られてないはずだから偶然なんだろうけど、昨日の今日なので俺は大いに焦り、泣きながら婆ちゃんに謝った。
婆ちゃんは『いいよ、いいよ』と許してくれた。
日曜、婆ちゃんがうちに来てくれて、婆ちゃんと近所のお寺にいって事情を話して人形を引き取ってもらった。
お寺の住職さんは学校の先生を兼業でやっている人らしく、俺の話を聞いてくれて、「そういう人間はどうしても出てくるから、他に仲の良い人をつくりなさい。嫌な事ばかり見たり考えていては、人間どんどん悪い方向へいくからね。できるだけ良いことを考えなさい」といわれた。
翌日から、俺はからかってくるヤツを無視して、別の同じゲームが好きなヤツと遊ぶようになった。
しばらくした、そいつらからのらからかいもなくなった。
霊感ゼロの自分が、人生の中で唯一あった不思議な話でした。