あれは猿憑きだ

カテゴリー「怨念・呪い」

バァちゃんから聞いた話。

以前バァちゃんは、住んでいる地区の長をしていたそうな。
月に一度、集金の為に家々を周っていたんだと。

ある集金日のこと。
バァちゃんは子供だった父さんを連れて集金に行っそうな。
いつも最後に周る家は、地区外れの林の中にある家だったらしい。
その家に住んでいるのは猟師の夫婦に子供が一人。

数日前に、大きい猿を撃ったと自慢してたらしく、土間に、その剥製が飾られていたそうな。

バァちゃんと父さんは、集金しに家を訪ね、玄関をガラガラと開けて土間に入って「ごめんくださぁ~い。」と声を掛けたんだと。

すると、「・・・はぁ~い。」としゃがれた声がして、何かを引きずるような音が、近づいてくるらしい。

外は夕暮れで薄暗く、横には大きな猿の剥製。
父さんは今にも泣き出しそうだったらしい。

廊下の置くから、引きずりながら何かが迫ってくるんだと。
よ~く目を凝らして見ると、全身毛むくじゃらで手に下駄を付けて、四つん這いでこっちへくる人間だったらしい。
バァちゃん達は、恐怖のあまり逃げ帰ったそうな。

その話の最後にバァちゃんは、こう言ってた。
「あれは猿憑きだ」って。

狐憑きは良く聞く話ですが猿も憑くんだなぁと・・・。

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