ひいばあさんの話しなんだが、ひいばあさんは所謂拝み屋です。
と言っても近所や知り合いの紹介とかでたまに人が相談に来る程度です。
今から約10年前の話しを投下。
その日、ひいばあさんは腰が痛くて昼まで横になってた。
NHKののど自慢を見てたんだって。
そしたら急に気分が悪くなって、何かが近づいてくるのを感じたそうです。
そんな経験は今までなかったのでかなりの恐怖を感じて、起きて家の中にある神棚の前に座り気分を落ち着つかせようとした瞬間に、家のチャイムが鳴り「何かがうちに来たのか!」と慌てた。
父が対応したらしく、ひいばあさんを呼びにきた。
対応したくないひいばあさんはとっさに横になり、寝たふりをしたんだと。
でも無理矢理起こされてしょうがなく玄関に行ったら、そこには妙にニコニコした中年夫婦が立ってた。
ひいばあさんは中年夫婦の顔に妙な違和感を感じたんだけど、しょうがなく神棚のある部屋に通した。
話しを聞く前に来訪者には裏の井戸から汲んだ水を出すんだ。
何も言わずに水を飲んでもらう。
これは必ずやる決まり事です。
ひいばあさんは例えば霊に憑かれてる人の憑いてる霊が必ずしも見える訳ではないそうです。
うちで祀っている龍神サマや祖先の霊とは夢で会話したり、ふいに御告げ的な声は聞こえるらしい。
裏にある井戸から汲んだ水は龍神サマの徳が入ってるから、悪い物に憑かれてる人がその水を飲むと、少し苦く感じるらしく、飲んだ後に味を聞くんだそうだ。
その水を飲んだ中年夫婦は笑顔が消えて、これはなんですか?と聞いてきた。
「ただの水だ」と、ひいばあさんが言ったら、「薬かなにか入ってるんじゃないか。舌がしびれている。」と烈火の如く怒りだし、さっきまであんなにニコニコしていたのに、いきなり般若みたいな顔で怒りだしたので、ひいばあさんはかなり恐怖を感じたんだと。
苦味をかなり感じてるからかなり大事な事だろうと思い、怒りをなだめて話しを聞いた。
話しの内容は後にするけど、とにかく怒ったり笑ったり感情の起伏が激しい。
ニコニコしているか怒鳴っているかの2つの感情。
普通の状態がない。
ひいばあさんは過去に同じことがあったのを思い出した。
でもこんなに度が過ぎてるのはありえない。
もう手遅れだなと直感的に思ったそうです。
過去にあったこととは、ある町に住んでるおじいさんが自分の家の敷地内にあるお稲荷さんの祠を、古くなったと言う理由で壊し、御神体を引っ越しさせる儀式をやらなかったために祟りにあったんだと。
その時も中年夫婦程ではないにしろ感情の起伏が激しくなったそうです。
でも程度が軽かったために、ひいばあさんだけで浄化できた。
今回は話しを聞く限り、もう手遅れだと思ったみたいです。
その中年夫婦の話しと言うのが、夫婦の家は代々ある神社を管理していた。
でも昭和50年代から一切の管理を怠り、現在に至る。
この話しは10年くらい前なので25年くらい神社を放置してたことになる。
神社の歴史はかなり古く、あまり公にされていない。
平清盛と大魔王をまつっていて、大魔王と言うのは崇徳院と言う人物だそうです。
ひいばあさんもそこら辺の話しをあまり覚えていなかったが、神様を祀ってるわけではなく、どちらも実在の人物を祀っていて、平清盛が崇徳院を封じ込めている神社なんだと。
どう言ういわれがあるかは、ひいばあさんはもちろん、中年夫婦もわからない。
夫婦が言うには、一族がことごとく不幸に合う。
親戚が15年以内に9人事故や病気で死に、息子夫婦の子供兄弟3人のうち2人が病気でなくなったんだと。
これは神社が関係しているんじゃないかと、中年夫婦の話しだった。
いろいろな人に相談したが断られたり、逃げられたりして困っているところ、人づたいにひいばあさんを知ったそうだ。
ひいばあさんは、自分では手に負えないと丁重に断り、「それでも何かあったら相談だけは乗るから電話してください」と言った。
中年夫婦は相変わらずニコニコして、何も言わずに帰ったそうです。
それから3日後に電話があり、中年夫婦の旦那さんが布団の中で冷たくなって死んでいたそうだ。
次は自分の番だからどうにかしてくれと言われ、ひいばあさんは知り合いに頼み徳の高い真言宗の坊さんに後を引き継いでもらったそうだ。
後日、その坊さんから電話があり、「あれは成仏させれる物なら誰かがとっくに成仏させてる。
気の毒だがどうにもならん」と言われたそうだ。
結局中年夫婦のその後はわからないです。
ちなみにその神社の周りは自殺がとても多く、有名でもないのにわざわざ他県から自殺しに来るみたいです。