九州の親戚の家に滞在していた時、夜に使いを頼まれて川沿いを歩いていた。
ガードレールの横を流れる川は道路と段差はあるんだが、傾斜のある川だったからザーザーと音が来る。
相当な田舎なせいか、夜道は真っ暗。
左右から木立ちも覆っている。
だが車通りもほとんど無く、怪しい人間もいないから、特に怖いと感じないんだ。
だから懐中電灯も持たずに歩くんだが、その夜は行く手に「バシャッ、グチョッ」と、濡れた長靴を履いたような音がした。
川とは段差があるし、夜に川に入って上がって来るヤツなんて(その土地じゃ)普通いない。
おかしいとは思った。
それでも無警戒に歩を進めたら、ウェットスーツを着たようなデカイ生き物が立っている。
自分180以上ある(既に当時大人だった)が、それよりも高かった。
木立ちに覆われた照明も無い夜道だから、顔も全体もハッキリ見えない。
なぜ人ではなく、デカイ「生き物」と判ったかって?
手がバカでかいんだ・・・。
足もだが・・・。
人間に絶対いないと思うほどじゃないかも知れん。
しかし、一目で「異様」と感じるほどに。
まァ最初に目に付いたのが手足のデカさだったというだけで、体中がヌルヌルしていたし、全身が異様だったな。
手には魚と草を握っていて、それがその夜の収穫(?)だったのかも知れない。
川ではなく反対側の山(と言っても道路から一旦下り、少し離れた場所)へ入っていき、見えなくなった。
これが自分の、河童(かも知れない生き物)との遭遇談だ。
ひょっとしたらただの夜間ダイバーだったのかも知れない。
しかし、それにしても限られた土地で、見た事もない大きなヤツがまるで人目を忍ぶようにそういう事をしていたのは、少なくとも異様と感じたんだ。
捕まえりゃ良かったと言いたいヤツもいるだろう、だがいざ目の前にすると張り倒されそうで、とても出来るもんじゃないんだよ・・・。