最後の手順「刃物で刺す」

カテゴリー「怨念・呪い」

一月の終わり、近所の小学校の裏でノートを拾った。
どこにでも有るような、ちょっと汚れた自由帳。
”きっと小学生が下校だか登校中にじゃれていて落として行ったんだろう”と思った。

懐かしさも手伝ってそれをパラパラめくってみると、嫌に細かい迷路や、顔のパーツに番号がふられていて選んでいくと顔ができあがる仕組みのゲームなんかが書いてあった。
”なんだか微笑ましいな”と思ったのに・・・一番最後のページを見たとたん、それはかき消された・・・。

今までの幼い絵や文字とは全く別物の大人の字で、「よびかた」と書かれたそのページには何かの手順がつらつらと、赤いマジックの様なもので書かれていた。

それは、オカ板で見かけた事のある「ひとりかくれんぼ」に内容が似ているのだが、手順の他には、何が起きるのか、何の「よびかた」なのか、そういうことは一切書いておらず、ただ用意するものと思わしき物の名前と番号がふられた手順だけだった。

いつもなら気持ち悪い、悪質な悪戯か?で済ます所なのに・・・なぜだかこの時は好奇心が勝って、どうしても何が起きるのか、なにの「よびかた」なのか、知りたくなった。
つまりは・・試してみよう、と思って。
ノートの内容を携帯のメールに書き写し、ノートを元の場所へ戻して帰った。

そんなに長く触っていたつもりはないのに、ほんのりとマジック独特のにおいが手に移ってしまっていた。

帰ってから早速、必要な道具を揃えにかかった。

赤い布、ポカリス○ット・切った爪、黒い糸、紙に四と書いた物、それと動物の骨。
比較的揃えやすい物ばかりだったが、「動物の骨」をどう入手したらわからなかったので前の日のお昼に食べた○ンタッキーの骨を、ゴミ袋から拾って使う事にした。

そして、ようやく「よびかた」を試すことに。

なんとなくオカルト的なものだとはわかっていたので、ちょっと雰囲気・・のつもりで少し照明を暗くしてやってみた。

まず、洗面器に赤い布を入れてポ○リを布に染みこませて、そしてその布に紙を置く・・。
文字が滲んでしまったが”まぁいいか”と次、紙の上に爪と骨を置いてくるむ。
くるんだら黒い糸でそれを巻く。
出来たら水場に1時間ほど置いておと書いてたので、風呂場に置くことにした。

なにが起きるのだろう?

その時はただ1時間が待ち遠しかった。

だけどなんでポ○リ・・?

ひとりかくれんぼに似ているけど、これは何が起きるんだろう。
いろいろ妄想してるうちに1時間は経った・・・。

風呂場へ見に行くと・・特に変わった様子はなく、赤い布にはちゃんと洗ったはずなのにケン○ッキーの骨から油が浮き出ていて、ぬめっていて、別の意味で気味悪かった。

それはさておき、書かれていた最後の手順「刃物で刺す」を骨の間をぬってなんとか遂行、そのあとの事は書かれていないので、とりあえずそのまま風呂場に放置した。

それからすぐ、異変が起こった!

のんきにテレビを見ていたら風呂場から『ガターン!!』と、なんか凄い音が!!!

見に行くと、ちゃんと掛けてあったはずのシャワーが落ちて、しかも水が出ていた。
蛇口をひねったのは昨日の夜が最後で、点検したがどこも壊れていないようだ。

内心ビビっていたけれど、こんなもん・・?もう終わりかな?っと例の物を生ゴミと一緒に捨てて片づけた。

それが間違いだったのかもしれない。
いやそもそも好奇心でこういう事をするのが、間違いだと、いまさら気づかされる。
幽霊だの、妖怪なんて正直信じてなかったのに。

あの日から、僕のまわりには黒い伸び縮みする、”なにか”が日に日に増える様になってしまった。

”なにか”は屈伸しているようにせわしなく今もここで動いている。

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