もう20年ほど昔になるんだが、北海道でエンデューロレースに出るために、近所の河原の藪でXLR250でウッズランの練習をしていたことがあった。
クリークや倒木の乗り越え、泥でぬるぬるの護岸ブロックの登坂なんかをね。
そんなある日、柳の林の中のバイク1台分のトレールにキタキツネが横の草むらからひょい!と顔をだして、ジトっという感じで睨みつけてきた。
その場は、「うるさくしてごめんねー」と声をかけて通り過ぎたが、復路でそれは起こった!!
柳の林を抜けて視界も開けてきて、背丈ほどのヨモギの群生の中をL字型に曲がってクリークを超えたら、後は堤防に上がる道だけという所で、どういうわけかL字コースをまっすぐ抜けてしまうのだ。
えっ?と思って振り返って、「あそこを曲がるんだよなー。」と思いなおして戻るのだが、気づくともう通り過ぎている。
「ハハーン、キツネに化かされているな。」と思い「これはなかなか面白い、いったいどうやってキツネは人を化かすのだろうか」という興味がわいてきた。
通り過ぎるといったって車体1台分の距離なのだが、林の中での方向転換は結構うざい。
時間は昼食後の午後1時くらいで薄気味悪い時間でもないし帰り道の堤防もすぐ脇に見えている。
しかし、3回ほど行ったりきたりしただけで焦りが出てきた。
バイクから降りて行って、曲がるポイントのヨモギなどを足で踏みつけてわかりやすいように広げても、その場所に通りかかるタイミングで意識が飛ぶようなのだ。
あそこ、あそこと目標をじっと睨み付けながらいっても、気が付くともう通り過ぎた後。
5回か6回やっても埒が明かないし、気味悪くなってきたので、その日はあきらめてバイクはそのまま置いて帰り、次の日取りに行きました。