子供の頃は誰でもヤンチャだし、変な噂があるような場所があったら、なんも考えず「行こうぜ!」って行っちゃうだろ?
俺もそんなクソガキだったんだよ。
俺が中学生2年生の時の話なんだけど、俺の地元は田舎なとこで、田んぼたくさん、木々がたくさん、みたいなとこだった。
当時はこんな噂があった。
・屋敷と呼ばれる水車小屋に最近女の幽霊が住み着いてる。(なぜ屋敷なのかはいまだに知らない)
・森の中にある散歩コースみたいなとこがあるんだけど、そこの途中に防空壕があって、そこには昔の日本兵が未だに敵を待ち構えてる。
・中心に鳥居がある池があるんだけど、夜にその鳥居をくぐると異世界へ行ける。
どれも子供が考えそうな適当な噂だけど、当時はそれを信じて確かめようぜ!なんて言って夜に仲のいい友達を3人誘って確かめに行ったんだよ。
結局最初の二つはなんもなかった。
怖かったし、肝試し気分で楽しんだからよかったけど、もう飽きてた。
だから3つ目の池の噂ももうどうでもよくなってきてた。
池についてから気付いたけど、鳥居をくぐるには池に入らなきゃいけない。
いかんせん、俺も中学生夜の池に飛び込むのは怖かった。
けど全部確かめたかったし、どうせなんも起きるはずがないってことで、じゃんけんで負けたやつが行くことにした。
俺が負けたわけだが・・・。
意を決してパンツ一枚になり飛び込んだ・・・が予想以上に深かった。
俺は溺れかけて捕まるとこが鳥居しかなかったから、必死に鳥居を目指して水の中で暴れた。
友達もさすがにやばいやばいってなってた。
なんとか鳥居に辿り着いたが、咳き込んでるし、足は結局下に着かないし、俺は疲れきってた。
まじでこれはやばいって思ってた時だった。
「大丈夫かい?ほら手を伸ばしてごらん?」
急に爺さんの声が聞こえて、水面に映る手が見えた。
上を向いたら鳥居につかまってる爺さんがこっちに手を伸ばしてた。
今思い出したら吹き出しそうな感じだけど、当時は神様が助けてくれるんだと思った。
俺手を伸ばしてその手をつかもうとしたのだけは覚えてる。
気がつくと朝で、頭とか腕に包帯を巻かれてて、変な部屋で寝てた。
後から聞いた話だけど、俺は手を鳥居に伸ばして狂ったように叫んでたらしい。
そこを偶然通ったおっさんがすごい顔しながら「まずい!」とかいって俺の腕をめがけて石を投げまくったらしい。
投げた石が俺の頭とか腕に当たった瞬間、俺がすごい顔でおっさん達をにらんで、そのまま沈んでいったらしい。
そこをおっさんが飛び込んで助けてくれたらしい。
朝起きた時に俺が寝てた部屋はおっさんの家で、おっさんが真剣な顔して「親御さんには黙っててやるから帰りな。だけどな、絶対これからは変な噂を確かめるとかはやめなさい。それとあの池にはあまり近づかないようにしなさい。神様は誰にでも優しいわけじゃないし、本当に神様かなんてわからないからね」と・・・。
俺はそのまま帰って三日は学校を休んだ。
なんか話を聞いたら怖くなって外に出れなかった。
学校行ってからも、しっかりお守りをポケットに入れて、しばらくは神社とかそういう類のとこには近寄らなかった。
子供をさらおうとする神様なんているのかな?
別に地元にはもう住んでないし、調べたいから教えてって言われたら教えますよ。