アメリカ人にして日本の怪談マニアである青年の体験した話。
時期はそう古くなく、2008年頃だとされている。
「これは俺の実体験なんだ。ある晴れた日の夜に、ホラーサイトをみてたのさ。質の高いホラーを探しててね。それで、結構いいサイトがあって、怪談話を読んでた。」
「そしたら、水滴が垂れる音がして、びっくりして水道を見たんだけど、水はぴたりと止まっててね。一瞬本気でびっくりしたんだ。ホラーが本当にきたのか!と思ったんだけど。」
「どうやらそのサイトの演出っぽいなと気がついたのさ。」
「そういや、どことなく機械音っぽいし、やっぱり最近のサイトは演出が憎いじゃないの。なんて無意味に感心してたんだ。で、安心してみてるうちに、それが少し早くなってきた気がしたんだ。」
「ポッタン、からポタン、ポタンに変わってきて、ますます怖さが演出されているな~。なんて思ったのさ。でも、ふと思ったことがあったんだ。」
「俺、確か・・・音量、ミュートに設定してたはずだよな?」
「確認したら、やっぱりミュートになってたんだ。効果音なんて拾えるはずがないんだ。慌てて強制終了して、立ち上げなおしてもう一回同じサイトに入ってみたんだ。」
「そしたら、音は出なくなってた。確認のために音が出るようにしてみたら、効果音なんて最初から入ってなかった。」
「あれがなんだったのかはわからないんだが、一人だったから誰かに聞くこともできなかった。あれ以来そのサイトには行っていない。」
彼はそう言って首をかしげてみせた。
件のホラーサイトは今でも更新され続けているという。