ジャン・クロード・アルメン著作の「砂漠の野生児」という本に、ダチョウと一緒に生活した小年の記録が残っている。
ある時アルメンは、ネムダイ族の者から、ダチョウに養ってもらっていた少年の話を聞き、調べたところ、小年の記録を発見することが出来た。
ただしこの少年は、生後すぐにダチョウにさらわれたわけではない。
5歳か6歳のころまでネムダイ族の両親の元で生活していたので、言葉は話せる。
後に戻ってきた時にも彼の経験を聞くことが出来た。
少年が5~6歳の時、彼がキャンプを離れて歩いていて迷子になってしまった。
三日ほど何も食べずに歩き続けていると、ダチョウの卵を見つけた。
少年がこの卵を食べようと思ったのかどうかは分からないが、卵のそばでじっとしているとやがて親鳥のダチョウが戻ってきた。
びっくりした少年であるが、彼がそのままその場を離れず居座っていると、やがてダチョウも慣れたのか、少年に危害を加えることもなく一緒に生活することとなった。
ダチョウの生活は、朝早く親鳥が子供を起こして、みんなで一緒に木や草のある場所へ出かける。
そこで食べられるものを拾って食べ、夕方になると巣に戻ってくる。
少年ももちろん一緒に出かけた。
しばらくすると少年はすっかり家族の一員となり、少年が疲れてみんなより遅れ始めると、ダチョウたちは少年が追いついてくるまで振り向いて、待っていてくれるほどに打ち解けていた。
そしてそのまま少年は10年間ダチョウと一緒に暮らした。
やがて目撃者たちから話を聞き、本当の人間の両親が引き取りに来て、少年は無事人間の家族の元へと帰ることが出来た。
1983年11月ソ連にオクサナ・マラヤは生まれる。
彼女の両親はアルコール依存症でオクサナが家の外に放り出されて以来、両親は彼女のことを「完全に忘れていた」という。
オクサナの記憶では、両親はいつも喧嘩して怒鳴り散らし、時にはオクサナを殴りつけることもあった。
それが原因でオクサナは3歳の時に家の裏にある犬小屋に住み始める。
以来彼女は犬の群れの中で生きるようになり、犬のように吠え、うずくまり、食べ物を目にしたら食べる前にその臭いをかぐようになった。
彼女が8歳の時に付近の住人により発見されたが、4本足で走る行動は犬そのもので、人語はほとんど話すことが出来ず、彼女は保護された後施設に入れられる。
その後施設で生きていく中で、彼女は人語を理解し、話せるようになり、犬のような行動の多くも矯正された。
しかしながら強いストレスに晒された際は犬と共に暮らしていた頃を思い出すらしく、当時と同じような行動を示す。
2006年オクサナは施設の牧場で牛の世話をして過ごすようになった。
これはとても気に入ってるようで、オクサナは自分自身がやりたいことをやっている。
彼女はその小柄な体からは想像出来ないほどの強い力を発揮するという。
最も奇妙なことは、彼女は家で飼われるペットの雑種犬に全く注意を払わないということである。
また彼女は時に犬を押しのけてしまう。
人との結びつきの方が強いらしい。
あるTV番組が父親とオクサナの妹をオクサナと再会させた。
母親は今では全く足取りが掴めないという。
オクサナには夢があり、それはもう一度父親のもとに戻り、再び一緒に生活を始めることであるという。
しかし父親の生活は困窮しており未だに夢は実現できていないという。
ほかにもサハラのカモシカ少年やチンパンジーの群れで生活していた少女、犬や猫などのペットに育てられた少女などがいる。
狼に育てられた子供はインドが多かったが、ほかの動物はなぜか旧ソ連に集中している。
旧ソ連では非人道的な実験が数多くおこなわれていたが、もしかするとこれらも実験なのかもしれない。