折角なので、弘法大師にまつわる、珍しい後味悪い話をひとつ。
広島県因島『いんのしま』の伝説『さば大師』。
暑い夏の日、魚をかついだ魚屋が威勢よく通りを歩いていた。
オケの中は新鮮なサバがいっぱい。
さあ稼ぎまくるぞ、と魚屋は張り切っていた。
と、ボロボロの袈裟をきたみすぼらしく汚い僧が寄ってきて、「もう何日も食べていません。どうか魚を一匹、分けてくださらぬか」と、かぼそい声で頼みこむ。
魚屋は顔をしかめると、「この魚は全部腐っていて食べられないよ」とウソをつき、何も分けてやらずに走り去った。
ところが市場でオケのフタを開けてみると、何と、サバは本当に全て腐って、ウジがわいていた。
「しまった。あれはえらいお坊さまだったに違いない」
怯えた魚屋は謝ろうと引き返したが、もうどこにも僧の姿はなかった。
このお坊さまは、かの弘法大師さまだったと言われている。
この他に、海で大量で人々が浮かれてるところに、みすぼらしい僧が来て・・・・というバージョンもあります。
分けてもらえなかったからって、人の生活のカテを腐らせなくても・・・・。
第一、坊さんのくせに魚ほしがっていいのか?
・・・というのが、以前から疑問です。