ある日、女が家に帰ると家の中から何やら焦げたような臭いがしていた。
「まさか・・・火事?」
そう思い家中を見て回ったが特に変わったところはなかった。
しかし部屋に戻ったとき、あるものを見つけた。
部屋の隅、その壁際に何か黒いものが落ちていた。
何かの燃えカスのようで、そこから焦げた臭いが漂っていた。
「何だろう・・・コレ」
彼女は特に気にせずカスを手でつまみごみ箱へと捨てた。
それから燃えカスのようなものは頻繁に彼女の部屋に落ちているようになった。
彼女に心当たりは一切無かった。
そんなある日の深夜、妙な音で彼女は目を覚ました。
『ブンブン・・・ガンッ!』
見ると何か黒いものが部屋の中で動き回っていた。
焦げた臭いも部屋中に漂っていた。
それは全身が焼け焦げて真っ黒になった人間だった。
苦しそうに頭をブンブン振り回して何度も壁に打ちつけていた。
ボロボロと黒いコゲの破片が床にこぼれ落ちていた。
彼女はそのまま気を失った。
彼女の前に家に住んでいた住人は焼身自殺をして亡くなっていたことが後で分かった。
まもなくして彼女は家を引っ越すことにしたという。