行方不明者の捜索で山に入っている時のこと。
遺体が発見されたとの連絡を受けて、応援に向かったのだそうだ。
無線で指示された付近に行くと、あたりの地面にはキャンプ用具が散乱していた。
捜索隊の仲間はいたのだが、どこにも遺体は見えない。
指差す方を見上げると、樹上の葉の間に登山シャツが見えた。
遺体は高い木の天辺あたりにしがみついていた。
ロープで木と身体を固く結わえていたが、どうやらそれは自分で結んだものらしい。
その顔は引きつって歯を剥いていたという。
遺体を地面まで降ろすのに、えらく苦労したそうだ。
死因は心臓麻痺だったということだが、彼を樹上に追いやったのは一体何だったのか、結局分からずじまいだという。